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泉美木蘭
2017.1.4 04:20

有効求人倍率では景気は測れない

今朝のニュース番組で、経済ジャーナリストの人が2017年の経済を
占うと言って、

「年末株価上昇!」
「マンションの新築が高水準!」
「有効求人倍率は1.41倍! 25年ぶり高水準!」
「最低賃金が上昇!」

などと解説、アゲアゲの雰囲気で景気回復への期待感を強調していた
けれども、新年だからといってなんでもかんでもおめでたく解釈するよう
言ってしまうのは罪ではないかと思った。

株価が上昇して喜んでいるのは投資家と政治家だけで、もううんざりだ。

マンションの新築と言ったって、金持ちの話か外国人の投資だろって
感じで、多くの国民にはそんな余裕はないと思う。
投資用に買われたマンションなんか、どうせ五輪での高騰を見越して
のものだろうから、3年後には売り飛ばされて暴落するだけでは?

有効求人倍率については、数年前から「上昇、上昇」と言われているが、
そもそも、「景気回復で求人倍率が伸びた」わけではないと思う。
企業側が、すぐに切れる非正規や、身を犠牲にしても働けるようなバイト
を求めて時給を上げて求人をかけまくっていることがまず大きな要因に
なって
いるというのは私でもわかることだし、
ハローワークにおける求人求職のデータを見てみると、

 ⇒http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000146330.html

この2年ほどは、有効求人倍率が右肩上がりになると同時に、
有効求職者数が右肩下がりになっている
のがわかる。
労働人口が減っていることも、求人倍率を押し上げる要因なのだ。

これって
「有効求人倍率がまた上がった! わーい! 仕事がいっぱい!」
と喜んでいていい状況だろうか?
というか、そんな風に大喜びしている国民が、現実に、全国的に、そんなに
大勢いるのだろうか?

有効求人倍率で気分が高揚してたのなんて、一昔前の話じゃないの?
現実から乖離した夢の色眼鏡をかけてデータを解説するのは罪だよ、罪。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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