今朝の朝日新聞に、高森明勅先生による「天皇退位への提言」が
掲載されている。
有識者会議は、ひたすら典範改正は「困難」「難しい」「できない」と
言うばかりだが、次の3つの要件を皇室典範に盛り込めば制度設計
は可能。
1)天皇の意思を前提とすること
2)皇室会議に最終的な決定権を与えること
3)皇位継承後すぐに摂政を置く事態を避けるため、皇嗣が成人に
達していること
また、皇室の安定的な継続には譲位だけでは足りず、
女性・女系天皇の容認、女性宮家の創設も、喫緊の課題だという
ところまでギュッとまとめられていた。
朝日新聞は、今朝の社説でも、
『天皇退位問題「一代限り」のおかしさ』と題して、有識者会議を批判
している。
一代限りの特別法は、当初から政権内で取りざたされている
案だ。典範改正を避けたい官邸の意向に沿い、結論ありきで
ことを進めるのであれば、「有識者」の名に値しない。
まったくその通りだと思う。
有識者会議は、「皇室室典範を改正したくない、改正するのは
大変だ、改正なんか無理なんだから手をつけないほうがいい」
という理由で、
「だから皇室典範を無視して、特例法で退位してもらいましょう」
と言っているだけだ。
これを「恣意的な退位の前例」と言わずしてなんと言うのだろう?
女性・女系天皇、女性宮家について完全に無視しているけれど、
たとえ女性宮家が創設されても、それで万事安心、順風満帆
というわけではないというのが現実だと思う。
制度に則って人生を過ごされている方々が現実におられるのだ。
制度ができれば、自動的に誰かちょうどいい結婚相手が現れて、
自動的に妊娠して、自動的になんの滞りもなくさらっと出産されて
万々歳というわけではない。
「識」を有するとされる人々が寄り集まって、そんなこともわからない
なんて、あまりにもバカバカしい。
一体どんな顔で声明を発表する気なのか。