朝まで生テレビ、非常におもしろかったです。
田原総一朗氏が、何度も「僕は素人だからわからないんだけど」と、
うまく舵取りしていて、男系派の暴言披露会みたいな展開にはならず、
象徴天皇とはなにか、天皇と自由、天皇と国民主権、権威と権力、
天皇とメディアなど、比較的幅広い角度から「天皇」について考える
議論になっており、終始興味深く落ち着いて考えながら楽しく見ること
ができました。
本来は、子どもが生まれるだけでも奇跡的なことなのに、いまの制度では、
皇室に嫁いだひとりの女性に男子をなるべくたくさん産めと強要するような
明らかな男尊女卑だということがはっきり発言されたこと、そこに嫌悪感を
表明して同調する女性がいたことも、とてもよかったです。
小林よしのり先生の「天皇は天皇、わしはわし」だった時代から、
今上陛下がご生涯をかけて人徳を積み重ねてゆかれるお姿に感覚が
変化させられ、やがて尊王心を持つようになった、
男系男子の血脈だからとか、伝統だからとかが理由で尊敬しているわけ
ではないというお話は、やはりとても説得力がありました。
弁護士の萩谷麻衣子さんは、前回にひきつづき、とても丁寧にお言葉を
読み込んでおられ、心をこめて自然な感覚で話されている様子が好印象。
竹田恒泰氏が、「養子は赤ちゃんだ!」の件で大暴れの言い訳展開に
持ち込もうとしたとき、
「私はあのとき、さすが竹田さんだと思いました! やはりよくわかって
いらっしゃる。皇族は、竹田さんのように俗世にまみれた人ではダメで、
聖域で育った人でなければならない、だから赤ちゃんだとおっしゃったん
ですよね、さすがですよね!」
と笑顔で横四方固めをしたのには大爆笑。
杉田水脈さんは、準男性というか名誉男性というかなんというか・・・
『準竹田恒泰』? あるいは『名誉渡部昇一』?
よりにもよってあのゲスさ満点の「タネとハタケ理論」を完全コピーして
堂々とテレビで発言するなんて驚愕です。気持ちが悪くなりました。
大学生になるお嬢さんがいらっしゃるという母親でもある女性なのに、
どうしてそんなことを言える感性が宿るのか、不思議でたまりません。
この方は「本来日本は女性が大切にされ、世界で一番輝いていた国
であり、そもそも女性は差別されていない」という自論の持ち主で、
いつだかも、国会で、
「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」
と発言した人物ですね。
青木理さんは、メディアが敬語を使うのはおかしい、天皇をタブー視する
こととつながっている、というような発言をされていましたが、ちょっと
ピンときませんでした。
メディアとて、人間の表現だから、そこに自然な国民感情としての皇室への
敬愛がのって敬語表現になっているだけではと思うのですが…。
それよりも、権力に萎縮して自由な報道を失っているメディア、
ひたすら金儲け主義に走るしかなく柔軟さを見失っているメディア、
という全体像のほうが大きな問題のような。
最後に、高森明勅先生がおっしゃっていた、
「今上陛下は、象徴天皇というものを機能させるためには、譲位という
制度を導入しなければ機能しないと考えておられる。
象徴天皇というものを完成させようとしておられる」
という点は、次回道場でも改めてお話をうかがいたいと思いました。
でも、ほんと、ほかの番組でももっとこの問題を取り上げてほしいな。
お昼の主婦向けワイドショーなんて、皇位継承の解説めちゃくちゃ
得意そうなのになあ。天皇家の家系図を大きくボードに表示しながら、
「いまのままでは愛子さまは天皇になれないんですよ」
「このままでは適齢期の女性皇族が、結婚して皇籍離脱してしまう」
「結婚したくても、できない状態になっているのでは・・・?」
「悠仁様の代まで放置しておけば、悠仁様おひとりになってしまう!」
などなど、細かく解説してゆけば、主婦層食いつきますよ。
豊洲だの五輪だの、東京都の恥の話ばかりで申し訳ない。