ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2016.8.1 21:30

リオ五輪と貧困街についてのフクザツな気持ち

おはよう。ねえ・・・
リオの街中で、武装した警官や馬に乗った軍隊が出動してる映像を
流しまくって、笑顔の女子アナたちに、
「この五輪のために、武装した治安部隊が街中に大勢立っていて、
いま、リオはかなり治安がよくなっていると言われているんですよねっ!」

なんてハイテンションでアピールさせるの、あれ、どーなの・・・。
(そこ、強調しとかなきゃならないリオって、どんだけ危ないんだ・・・)
としか思えなくなっちゃったよ。行かないからいいけど。

ところで!
次の写真は、リオデジャネイロの観光スポットから撮影された風景。
このなかで、貧困街の映っている写真はどれでしょう?



どれもこれも、なかなか日本にはない風景で、目を奪われるけど、
これは全部、リオデジャネイロのスラム街(ファヴェーラ)を撮った写真です。
4枚目は、手前のこまごました建物一帯がファヴェーラ。
写真奥の、海に近い富裕層の高層マンションとの対比がすごいよね。

きょう配信されるライジング『泉美木蘭のトンデモ見聞録』で、
新自由主義の見本市・韓国の格差社会と貧困をレポートしていますが、
その中で、リオと韓国のスラム街についても書いています。
これはその予告&補足・・・

ファヴェーラは、貧困民が不法占拠して出来上がった地区。
住民たちは勝手に水道を引き込み、勝手に電柱に電線をつなぎ、
料金督促されることなく泥棒状態で使っています。
当然ながら、こういった地区は、ギャングが牛耳るので、麻薬や銃器、
犯罪の温床にもなっています。
ずいぶん前の映画ですが、『シティ・オブ・ゴッド』という作品では、
このファヴェーラの子供ギャングたちの過激な生活が実話で描かれ、
話題にもなりました。

リオでは、今回の五輪のために数年間かけてファヴェーラを「掃除」
したと言われています。
武装した治安維持部隊を大量に配置し、射殺、射殺、射殺しまくり、
交番を作り、イメージアップのために外壁を塗り、観光スポット化
したりして、「安全な街」にした、と。

ちなみに、ファヴェーラをカラフルな外壁に塗ったのは、
オランダからやってきたストリートアーティストだとか。
ほかにもスラムをモチーフにするのが好きな人間は多いようで、
彼らの「作品」を見物するためにスラムを訪れる観光客も増えるらしい。

うーん。最初の写真と合わせて、たしかにすごいけど。
でも、これで格差社会まで塗り替えられるわけでもないし、
スラムに住まざるを得ない貧困層は、完全に固定化されて、
減るわけでもないしなあ。

急にスラムがおしゃれなものに見えてくるけど、
現実は、犯罪ぐらいしか生活の糧のない貧困者の暮らす街だ
ということがわからなくなっちゃうんだよね。
それって、果たして良いことなのだろーか
・・・
のんきな外国人観光客が増えて、スリや引ったくりのチャンスが
増えて、稼ぎにつながるから、いいのかな!?(どうなんだ)

で、これ、おまけ。
貧困街ファヴェーラをデザインした水着。


柄アップ。


すごいんだけど。たしかに、パターンとしておしゃれなんだけど。
美女が着る、貧困街の風景。フクザツなもんがあるでぇ・・・。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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