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泉美木蘭
2016.7.19 04:05

どうしよう、じんましんの出る洗剤しか買えなくなったら。

うぇーい。ごきげんだもんね。
洗濯用洗剤をもとにもどして、シーツ、枕カバー、パジャマをすべて
洗いなおして眠ったら、朝からじんましんが出ていない!
すっかり安眠できたし。掻き痕がまだまだむずむずするけど、あ、
このまま治るな、という実感があるもん。
しかし、洗剤って恐ろしいもんだね。
あまりにも痒くて、一週間ぐらいつらかったから、実は思い詰めて、
無添加無香料の石鹸を5リットルも注文しちゃったよ。
来週届くんだけど、どうするんだ、こんなに買って!
体が病むと、頭も病んで、思い詰めて度の過ぎたことをしでかすね。
やはり、健全な肉体に、健全な精神が宿る。
わたし、健全な石鹸で、健全な肉体を磨きます。

しかし、わたしを全身じんましんにした洗濯洗剤は、別にマイナーな
商品ではなくて、よく知られてるメジャーなメーカーで、しかも安くて、
スーパーの店頭で段ボール山積みになってたんだけど、
ひるがえって、無添加無香料の昔ながらの石鹸って高いわあ。
同じ量で3倍ぐらいの値段がするから、金額にすれば数百円のもの
なんだけど、迷っちゃったよ。いずれ富裕層の石鹸だね、こりゃ。

さて、今日配信されるライジングでは、格差の先進国アメリカで現実に
起きている、貧困の子供の実態、公立小学校に通う子供をとりまく、
恐ろしい「食」の環境や政治の姿を書いています。
新自由主義を貫いたアメリカでは、落ちこぼれてしまった貧困者は、
安全性も好みもすべて度返しした買い物しかできなくなっている。
それどころか、そもそも、視界に入る商品そのものが、市場のルールに
支配されて制限されてしまっている。
アメリカに倣って新自由主義に突っ走る日本も、他人事とは思ってい
られないかもしれない・・・
けっこう怖いよ。配信をお待ちください。

どうしよう、じんましんの出る洗剤しか買えない未来になったら。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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