発災直後の混乱はどうしても確実に起きることなのだなと
再確認させられている。
東北の震災の時にも似たことが起きていて、
宮城県のある津波被災地の避難所では、
「2時間並んでかっぱえびせん1本しかもらえなかった」
という話を聞かされた。一袋でなく、1本だ。
何度も並んで二重取りされることを避けるために、
受け取った人は、手にマジックでしるしをつけられたと聞いた。
平常時の人間が聞けばまず耳を疑う話で、
しるしをつけられた側の感情に立てば、行政の準備不足を
これでもかと悪い印象をつけて批判できるのだが、
現実、道路が寸断されて物資が届かず、行政の人間も被災して、
余震の恐怖に耐えるなか、数少ない食べ物を大勢で公平に、
時には態度の悪い被災者の怒号もなだめながら分けなければ
ならないとなると、
「どうしてもそうなってしまった」
という極めつけの混乱の状態を、感情的な共感だけで、
これ見よがしに怒るのは良くないと感じた。
それが原因で、知識や経験のない人が、感情をあおられて、
素人ボランティアとしてやみくもに現地に向かった結果、
ますます混乱の原因になってしまったのでは元も子もない。
外部の人間が一面だけを見て怒ったところで解決にはならず、
冷静に、客観的に、一番良い方法を描き出し、粛々と混乱が
解消されていくのを待つしかないという現実も胆に銘じておく
必要があるのだと思う。
でも、こうなると、次に被災するかもしれない自分は、日ごろから、
なるべく非常食を準備して手元に置いておくぐらいしか、「直後」を
とりあえず乗り越える方法はないのかも、と思う。
・・・というブログを書いている間に、消防車のサイレンが鳴り響いた。
ものすごい音で外に出たら、アパートの目の前に5台もの消防車が
並んで、消防隊員たちが走り回っている。
うわっ、うちも燃えるかなと思って、どこが火元なのかとのぞいてみたが、
同じくあわてて様子を見に来た近所の人も、消防隊員も、現場を発見
することができなかった。
イタズラ通報だったようだ。
ホッと安堵するとともに、頭にも来た。
そして、これが震災で、それに伴う火事だったら、この着の身着のままで
放り出されるしかないんだよな・・・と、思い直した。
半パンとよれたTシャツ、つっかけで、とぼとぼとアパートに歩いて帰った。