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泉美木蘭
2016.3.9 04:15

国連への反発心を利用して、皇室典範改正を潰す政府

7日に公表された国連の女子差別撤廃委員会による、
日本政府に対する勧告を含む「最終見解」のなかには、

◎夫婦同姓
◎再婚禁止期間
◎マタハラ
◎慰安婦問題

などが盛り込まれていたけれども、当初、このなかには、

皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承される
との規定を有している
母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも、皇位継承が可能
となるよう皇室典範を改正すべき

として、皇室典範の改正を求める勧告が盛り込まれていたのだそうだ。
ところが日本政府は、駐ジュネーブ代表部を通じてこの部分だけに
強く抗議し、記述の削除を強く要求。
発表された最終見解からは、皇室典範に関する記述が消されたという。
この件に関する菅官房長官の記者会見を先ほど見た。

「わが国の皇室制度も、諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や
伝統が背景にあり、国民の支持を得て今日に至っている」

「わが国の皇位継承の在り方は、女子差別撤廃条約でいう《差別》を
目的としていないのは明らかであり、委員会側が、わが国の皇室典範
について取り上げることは全く適当ではない」


『国連が、わが国の伝統に口を出す権利などない!』という反発心を
うまく煽って、「菅さん、よく言った!」と、田母神ショックに見舞われた
ネトウヨから絶賛
されるのだろうけど、
実際、男系男子に固執して、女性の天皇を認めようとせず、
雅子様を、ご病気になるまで「男子を産むための人」としか扱わず、
染色体のレベルに至るまで、徹底的な男尊女卑を晒している件に
関しては、完全に
事実なんですけど?

本来なら、そっちじゃなくて、「慰安婦問題」に関する言及のほうに
きっちり反論できる政府であってほしいし、
「夫婦同姓」だって、制度の問題でなく、夫婦間の合意の問題であり、
誰からも締め付けられていないのに『夫の名字を名乗るのが、普通』
という《世間体》のほうを変えていくべきなのでは、と私は思う。

なんだか・・・散々ヘコヘコしておいて、皇室典範に関してだけは
国連への反発心を利用して、なんとしてでも女系を公認しない、
狡猾というか、卑劣というか、小狡いというか・・・
そのセコさにむかむかする。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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