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泉美木蘭
2015.11.27 03:22

心霊療法に騙された親を叱責するのは不道徳なの?

昼のニュース情報番組で、宇都宮市の祈祷師詐欺事件の解説を
やっていた。
糖尿病の7歳男児に対して、「祈祷師」を名乗る男が
「腹の中に死神がいるから良くならない」と言って、
インスリンの投与をやめさせ、ハンバーガーを食べさせ、
男児のまわりにろうそくを立てたり、
身体をゆすったりする「治療」を行い、
両親から200万円以上の金を受け取っていたという。
結果、男児は、適切な治療を受けられず、亡くなってしまった。
両親は、インスリンの注射を嫌がる息子のために、藁をもすがる思いで
「心霊療法」の看板を掲げる祈祷師のもとを訪れたのだという。

私はまず最初に、祈祷詐欺のブタ野郎の罪はもってのほか、それ以前に、
「この親が、おかしいじゃない!!」
と思ったのだけど、番組を見ていると、どうも、そういう責め方をしては
いけないらしい。
司会者もコメンテーターたちも、

「せめて、相談できる第3者がいればよかったですよね」

「容態が悪くなったときに、病院の診療を受けているのだから、
そのときに医師との信頼関係があれば、相談できただろうと思う」

両親=被害者として、優しく、腫れものにさわるような言い方で擁護していた。
両親は、保護責任者遺棄致死容疑で書類送検される方向だそうだけど、
番組に出演していた弁護士は、

「騙された上に、お子さんを亡くした上に、書類送検されるなんて、
こんな苦しみはありませんよね・・・」

と発言していた。
詐欺師のクズブタ野郎が諸悪の根源なのは確かだけど、
ここまでやさしく真綿に包むコメントは、なんだか、ぜんぜん腑に落ちない。
取り立ててこの事件の両親を責め立てろとも思わないんだけど、
明らかな弱者であり被害者でありかわいそう過ぎるのは亡くなった男児なのに。
両親を責めるのは不道徳ととられるのでしょうか?

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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