映画『それでも僕は帰る ―シリア 若者たちが求め続けたふるさと―』
を観てきた。
凄い作品だなあ。
シリアの若者たちによる民主化運動、
はじまりは歌とシュプレヒコールによる平和的デモだったものが、
アサド政権からの容赦のない虐殺によって、
たちまち武装化してゆき、混迷を極めていく様子を、
着弾点のど真ん中で、カメラが密着しつづける。
前半、反体制派を批判する歌を歌っていた若者たちは、
あっという間に大量の銃を手にしておのおの入念に
磨きはじめるようになり、
そして、親友たちはどんどん死んでゆき、
精神的に追い詰められ、極限状態になってゆく。
その一連の流れと、若者たちの変貌ぶりは、
まるで最初からシナリオがあったかのような、
いつか読んだ原作をもとにした青春物語であるかのように
感じるほどだった。
また、追っているカメラマンに、冷酷なほどタフな一面があって、
ドカドカ砲弾の飛び交う尋常でない過酷さのなかでも、
チャンスがあれば綺麗に絵作りして撮ってみせるのも凄いと思った。
ポスターになっているシーンなんて、思わず、
「美しい憂鬱だなあ・・・・」
なんて見入ってしまうという面白さがあった。
シーンのほうから「いま撮って…」って近付いてきちゃったんだな、きっと。
そもそも、この映像をよく無事に持ち出せたなあとも思うし。
で、帰宅してから知ったけど、
ノーベル平和賞に、チュニジア民主化貢献団体!?
はあああ??? シリア、この状況で?
チュニジアは、たまたま、うまくいきやすい環境が揃っていただけなのに??
ノーベル平和賞って、わけがわからないな。
核兵器廃絶を語っただけで、オバマ大統領に贈られたこともあったんだっけ。