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泉美木蘭
2015.7.27 05:24

黒柳擁護論VS黒柳懐疑論

昨日の師範方との打ち合わせの席で、
「昔はもっと恐ろしい先生や、強烈な印象を残す大人がいて、
それが子供たちの教育やしつけに必要不可欠だった」
という話になった。


そこで、切通先生が、かつての歌番組での黒柳徹子
ふるまいが強烈に印象に残っているという思い出を話された。
シャネルズが登場した際、ある少年が、
「黒人のくせになんで香水みたいな名前をつけてるんですか」
と質問をしたのだけど、その後CMに入り、
そのCMがあけたとたん、
黒柳徹子が涙を流しながら、
「黒人のくせにってなんですか!」
と激怒していたのだという。
切通先生は、これを目撃したことで、『差別発言』というものが
強烈な印象として胸に残ったのだそうだ。


あわわー、私も似た経験があるよお、と思った。
子供の頃、私もその歌番組を毎週見ており、今でも強烈に
記憶している黒柳徹子の発言があるのだ。
光GENJIが隆盛を極めていた頃だ。
バレンタインデーの時期、ジャニーズ事務所宛てには
全国のファンから、4tトラック15台分だの、20台分だのの
チョコレートが届いたと話題になっていた。
で、登場した光GENJIの諸星クンが、
「このチョコレートは、アフリカの恵まれない子供たちに
寄付したいと思います」
と言ったとたん、瞬時に黒柳徹子がブチ切れて、

「恵まれない子供たちは、一生チョコレートなんか食べられ
ないんです。あなたがたの気まぐれで、一度きりの贅沢を
覚えさせるのは、とても残酷なことなんですよ!
気安く寄付なんかなさらないでください!」

そうだったのかああああ! 
私も純粋な子供でなにもわかっていなかったので、
はじめて、日本人の無自覚な偽善を思い知らされるに至り、
いまでも『無自覚な偽善』というものが胸に残っているので
ありました。


・・・しかし、小林よしのり先生によると、
「それは、黒柳擁護論じゃないか!」と…。

「ここで泣いたら善人に見られる」と思って泣いたんじゃないか?
こう答えれば、尊敬されると考えて発言したんじゃないか?
そんなに簡単に黒柳のすべてを信じていいのか?

は、はい……。そう言われれば……。
子供時代の記憶であって、擁護したわけじゃないですけれど……。
テレビ開局時にはじめてブラウン管に映ったぐらい、
ずっと人前に自分を見せている人だし……。
海千山千の芸能人なんだろうし……。
どんな裏腹を持っているか、わからないよね……。

徹底した黒柳懐疑論。
迫りくる小林先生の業によって、
切通先生と私の黒柳の思い出は、
霞んでいったのでありました。

あなたは、黒柳擁護論? 黒柳懐疑論?

さ、ライジングの原稿にもどろ。
2週開きましたが、『ヤマトタケル物語』のつづきですよ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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