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泉美木蘭
2015.1.4 20:40

カウンセリングというものを


カウンセリングというものを受けてみることにした。
もともと気分の上がり下がりが激しい性質なのだけど
徐々に調子が狂っていたようで、
原因のわからない体の痛みや、動悸が頻発したり、
ある朝は、起きると口の中がまあ大変。
自分の両頬の内側をぐるっと一周噛み切っており、
鏡のまえで、あんぐり口を開けたまま、
「そんなに肉食わんでも・・・」とつぶやいてしまった。

本を読むと、視線は行を追っているのに、
内容とはなんの脈絡も関係もない、
いろんな自分の記憶が次々と蘇ってきて、
そっちのほうに気を取られたり、
急に悲しくなったり腹が立ってきたりして、
ぜんぜん集中できない。
読むのに時間がかかるなんて、ものすごく焦る。
テレビを見ていても、同じ。
気分転換に行ってみたスパの大浴場では、
身体はお湯のなかに浮かせているのに、
頭の中は何故か「思い出し怒り」が爆発していて、
私のまわりにはドス黒い湯けむりが立って、
人知れず呪いの力に満ち溢れており、
ちっともリラックスできず、疲れてしまった。
いつもなら、ぼんやりと人様のおっぱいを
眺めているのに、一個も視界に入ってない。
プロレスは楽しかったのになあ。
もっと暴れたほうがよいのかな?


心理テストのようなものを受けたあと、
幼少期から現在までをざっと話したところ、
認知行動療法というのを勧められた。
いいのか悪いのかはわからないけど、
執筆のネタになるかもという下心がまず先に立ち、
今後もし認知行動療法が大注目されたとき、
「わたし、実際に体験しましたけれども」
と自慢気に語れるかもしれないので、
とりあえず受けてみることにした。

目標をどう設定するかという話になり、こう決めた。
「お風呂で呪いの力に満ちない自分を目指す」
カウンセラーの人は笑いながら、そうなってもらいましょうと答えた。
単にうまくリラックスできる精神状態に戻したいと言えばいいのに
なんで私はそこで笑いをとろうとしてしまうのか!

まずは「活動記録表をつける」という宿題が出た。
0時から24時までのスケジュール表のようなものに、
起床から就寝まで、食事、仕事、テレビ、読書など
なにをしたか、その時どんな気分(楽しい、悲しい、
怒り、憂鬱、疎外感etc)だったか、
その気分の程度を100点満点で数値化すると
どのぐらいかを記録していくのだ。

「物書きの方だし、ぴったりだと思いますよ」

びっしり線の引かれた面倒くさそうな表を渡されて
カウンセラーの方にそう言われて、

(うはー、こんなの続かないなー…次から来ないかも…)

と、その時は思ったのだが、
ものすごく一生懸命に記録してしまっている。
一枚記録し終えたあと、
字が汚いと思い、破り捨てて、
予備のもう一枚をコピーしてきて、
芯の細いペンを選び直して一から書きなおすぐらいの
異常な一生懸命さである。
んま、
人に読まれる書き物をしている時はよく頭が働くし、
湧いてくるのはサービス精神だし、気分も安定している。
よく考えたら、プロレスも、観戦している時より、
観戦記を書いているときのほうが楽しんでいたかも。
きっとだけど、私はもっと書いてないといけないのに、
書き足りてないんだ、ちっとも。

今日はライジングの締め切りだ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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