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高森明勅
2018.3.4 01:00

安倍首相の苦境

安倍首相が苦境に立たされている。

自ら「働き方改革国会」と名付けた国会が始まって間もなく、
答弁の撤回から「
裁量労働制拡大」そのものの法案からの
“全面削除”
にまで追い込まれた。

と思ったら、間髪を入れず、森友学園の国有地取引を巡る
決裁済み公文書の「書き換え」
問題が、急浮上した。

朝日新聞が時期を見計らって報道したのか。

それとも、この局面で財務官僚がリークしたのか。

いずれにしても、絶妙のタイミングだ。

報道が事実なら大変なこと。

既に各所から驚きの声が挙がっている。

誤字脱字でも訂正印を押して直したことがわかるようにするし、
まして文言を削ったり、別の言葉を入れたりするのなら、変えた
ことがわかるようにして決裁を取り直す。
報道されている)書き直しが事実なら、(行政の常識として)
あり得ない」
(農水省の官僚)

仮に意思決定が変わって書き換える必要がある場合、
その経緯がわかる文書を残さないのならば、法律が想定しない事態だ」
(内閣府公文書管理課)

決裁文書の書き換えは、既存の法律も規則も想定していないほど
悪質で、
公文書偽造など刑事罰の対象になる可能性もある」
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長)等。

これまでの政府側の対応を見ると、真相は限りなく「黒」に近い
印象を与える。

決してやってはならないことを、
万が一にも実際にやっていたとしたら、
そこまでして「事実」
を隠したかったからに他ならない。

まさに「行政を歪めた」という自覚があった事を、
自ら白状したに等しい。

これまでの国会での政府側の答弁も皆、ひっくり返る。

学園の提案に応じて鑑定評価を行」い、
予め「価格提示を行う」
という「特例的な取引」が
行われたという「特殊性」(以上「」
内は当初の文書に
あったとされる表現)を、
財務省が自ら公文書で認めていた事に
なるからだ。

この問題が今後どう展開するか。

展開次第では、楽勝と見られていた
自民党総裁選での安倍首相の3選も、
不透明になってくる。

それは憲法改正の行方にも直結するだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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