2月7日に『東京新聞』の取材を受けた。
翌日の「こちら特報部」面に「剣璽(けんじ)等承継の儀」
を巡る記事。
今上(きんじょう)陛下の皇位継承の際に、
同儀が行われた場には男性皇族しかいなかった。
これは何故か、と尋ねられた。
戦前は、旧皇室典範の下に「皇室令」以下の
(国務法とは区別された)宮務法の体系があり、
その皇室令の1つに、皇位継承に伴う儀式などを定めた
「登極令(とうきょくれい)」があった。
その「附式(ふしき)」の規定では、
同儀(但し呼称は剣璽渡御〔とぎょ〕の儀)参加するのは
男性皇族だけとなっていた。
それをそのまま踏襲した為だ。
政府は「皇位とともに伝わるべき物を承継する儀式」
だから「皇位継承資格を有する皇族男子」に限ったと説明。
しかし、「皇位とともに伝わるべき物を承継する儀式」でも、
女性皇族が今の制度では皇位継承資格を持たないからと言って、
ことさら排除する根拠にはならない。
むしろ、新しい天皇が皇位を継承された事実を儀礼的に
表示する場面に、天皇をお支えする皇族全員が立ち会われて、
皇位継承の厳粛さを共に胸に刻まれるのは、ごく自然な事では
ないか。
旧皇室典範では「皇族会議」には男性皇族だけしか
参加できなかった。
「一般人民の情は、男を尊み女を卑(いやし)むの気風あり」
(明治15年、嚶鳴社討論筆記「女帝を立るの可否」中の島田三郎
の発言)とされた時代の所産と言う他ない。
今の「皇室会議」には勿論、女性皇族も議員に加わっておられる。
これまで、それに対する異論も聞いた事がない。
昭和から平成への御代替(みよが)わりの際は、
終身在位という原則下で、事前に入念な準備もできなかっただろう。
今回はそうではない。
来年の剣璽等承継の儀では、女性皇族を全て除外する
(男尊女卑の古い感覚を残した)旧式なやり方は、改めた方がよい。
概略、そんな話をした。
2月8日付の紙面に載ったコメントは以下の通り。
「戦前の旧皇室令下で、剣璽渡御の儀に出席できた皇族は、
皇位継承資格のある男性だけだった。
平成の即位の際は儀式の在り方を十分に検討する時間がなく、
旧皇室令が踏襲されたのだろう」
「(今回は)即位の日程が決まっており、準備する時間はある。
皇位継承資格者に限定する必要はなく、女性皇族もいてしかるべき
だ」