2月11日、建国記念の日。
東京ビッグサイトのレセプションホールで
第10回「くにまもり演説大会」。
私は第4回から審査員を拝命している。
他の審査員は、政治学者のペマ・ギャルポ氏、
東洋史家の宮脇淳子氏、ジャーナリストの大高美貴氏、
憲政史研究家の倉山満氏など。
二十代の若者で、1039名の応募者から
3次に及ぶ審査を通過した8名が、登壇。
驚いたことに、そのうち4名は現役の大学生。
他にも社会人1年目が1人。
少なくとも私が関わるようになってから、平均年齢は今回が一番若い。
しかもレベルが高い。
優勝は国会議員秘書のMさん。
彼女はこれまで一貫して、使命感を持って北朝鮮による
拉致問題を取り上げて来た。
前年の優勝者が普通に予選落ちするような、
選考が厳しいこの大会で、過去に準優勝2回、
第3位1回という実力者。
涙を流しながらの熱弁。
表現面での難点を上回る熱意で優勝した。
準優勝はアナウンサー志望の大学生K君。
彼を優勝者に推した審査員も複数いた。
宮城県出身の彼は、被災の深刻な痛手から立ち上がろうとする
地元の努力に、自身が具体的にどう関わって来たか、「夢牡蠣」
を通して語りつつ、幼少の頃から憧れだったアナウンサーになる
責任感に結び付けた(既に卒業後、アナウンサー採用が決まって
いる)。
清新さ、前向きさが評価された。
但し、アナウンサー志望らしからぬ言葉の間違いが減点対象に。
これまでの3次にわたる審査のプロセスで指摘してくれる人は
いなかったのか。
3位は社会人になりたてのIさん。
手話の完璧なプロを10人養成するより、
一般人1000人が少しでも手話が出来るようになる方が大切、
と手話の普及を訴えた。
彼女の演説の終盤。
会場の約1000人の若者に呼び掛けて、広く使える手話の
1つを壇上からやってみせ、会場のみんなが一斉にそれにあわせた。
弁士の力量と参加者の真剣さの両方がなければ、こんな場面はあり
得ないだろう。
私にとって大会の中で最も印象深い光景になった。
他にも、
大学3年生で3年間に300冊の本を読んだという
国文学専攻のM君、
被災地の子供たちの俳句を取り上げたKさん
なども高い評価を得た。
1つだけ注文を付けるならば、大会前の審査のあり方について。
弁士の1人に怪しげな語源説を披露した人がいた。
懇親の席で本人に確認したら、しっかりした調査はしていなかった。
このようなチェックは、大会の信頼性にも関わるので、もっと早い
段階で行っておくべきだろう。
それはともかく、1000人もの若者が公的な関心を抱いて、
この場にわざわざ結集した事実は心強い。
この大会の更なる発展と充実に期待する。