昨日はスタッフとの新年会があったが、経理担当者から
緊急動議が出され、「なぜ漫画をもっと描かないのか?」
と糾弾された。
わしは自分が社会的に注目されていたから、描いている
つもりでいた。
スタッフも描いているつもりでいたようだ。
ところが現在、「SAPIO」と「FLASH」で月産20枚しか
連載を持っていない。
あとは幻冬舎の描き下ろしを描いていたから、生産量が
多いと感じていたわけだ。
だが、描き下ろし単行本はあくまでも一か八かの博打の
世界で、漫画家の基本は原稿料だ。
原稿料でスタッフを雇っていかねばならない。
定期的には20枚の原稿料でスタッフを雇って行けるのか?
と動議が出され、当然だが全員、不可能という結論になった。
考えてみれば『東大一直線』の頃は、アシスタント1名で、
わしと二人で月産60枚描いていた。
このペースなら単行本は年間3冊も出て、すぐ各巻10万部
に達していたから、巨額の印税が入ってきた。
これに月刊少年ジャンプで『救世主ラッキョウ』を始めて、
月産85枚くらいを二人で描いていたのだ。
今年は新連載を始めるが、それでも月産44枚でスタッフ
5名を雇うことになる。
無理があるのは分かり切っている。
漫画家だったら誰でもこれではやっていけないと分かる
だろう。
しかもわしはスタッフの給料・ボーナス・社会保障までを
出費している。まるで普通の会社並みの待遇である。
スタッフを甘やかし過ぎているのだ。
だが実はわしは目立ってるだけで昔ほど描いていない。
これを自覚して、今年はもっと描かねばならない。
そもそもスタッフはネットで海外ドラマばっかり見て、
ペン入れに集中していないのではないか?
生産量が恐ろしく低い気がする。
スタッフが順番に風邪ひいて休んでいるのも、甘やか
され過ぎて、ぶったるんでいるのだろう。
わしも経営者として、社員を人間あつかいしすぎている
のだろうか?
社会にはブラック企業だらけで、人間を奴隷としか
見ていない経営者が多い時代だというのに。