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小林よしのり
2017.12.30 03:52日々の出来事

貴乃花を擁護したい


年末までワイドショーが相撲の話題ばっかりやっていて、

興味が持てなかった。週刊誌の記事も読んでない。

ただ、貴乃花が相撲は「国体」と言っていたという話を

ちらっと聞いた。

そこでわしは貴乃花が正しいんだろうなと思うように

なった。

 

「国体」という言葉を使ったら、サヨク方面から

戦前回帰だと非難される。

だが、国家のアイデンティティーや国家独自の特徴は

間違いなくあるだろう。

日本と韓国と中国とロシアとアメリカでは、やはり国家

の特徴が全然違う。

 

人に個性があるように、国にも独自の個性や国柄があり、

これを失くしたら日本国の独自性が失われてしまうと

いうものはある。

それを「国体」と言うのであり、日本では「天皇」が

それに当たり、一神教ではなく、「多神教」であることも、

日本の文化を育てる価値観であったはずだ。

 

相撲はもともと「神事」であり、神々に奉納するもので

あり、しかも「相撲道」というように「道」が付いている。

 

道を究めねばならぬという日本人の美学が相撲にはある

のであり、昔から相撲取りがペラペラしゃべるものでは

なかったし、横綱は受ける相撲をしてみせねばならなか

ったし、スポーツではないのだからガッツポーズなんて

ものはしなかった。

負けた者に手を差し伸べるのが相撲道だったし、

ましてや自分が優勝して、自ら観客に「バンザイ」を強いる

ような厚かましい態度は絶対にとらなかった。

 

相撲の美学をことごとく崩壊させる白鵬に対して、相撲協会

が弱腰であることに、貴乃花は耐えられない気持ちなのでは

ないか?

これほど相撲の美学や「道」を破壊されるのなら、やはり

モンゴル人を勧誘しなければよかったのだ。

モンゴル会なんか作って、モンゴル人同士で集まっていれば、

星の譲り合いをしかねないと貴乃花は思ったかもしれないし、

それは正当な心配だろう。

 

相撲が「国技」である以上、「伝統」は因習にならぬように

残さねばならないし、排外的な部分もあってしかるべきだろう。

 

ナショナリズムとグローバリズムの相克のようなもので、

相撲を「国体」として守る気概がなければ、そのうち

チョンマゲもマワシも世界標準として廃止するべきだと

なりかねない。

 

貴乃花は「国技」であり、「神事」であり、「道」であり、

「国体」としての相撲を守ろうとしているのだが、

相撲協会や一般国民はそれが分かってないのかもしれない。

貴乃花は利権に挑んで、伝統を守ろうとしているだけでは

ないかと、わしは思っている。

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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