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小林よしのり
2017.12.18 03:07政治

枝野幸男代表に期待すること


枝野幸男代表が、あちこちで「憲法改正は優先事項ではない」

と繰り返して発言している。

それを言うのは戦略的で、世論調査でも優先度が低い状態

では、政権への抑止効果として言わねばならぬだろうし、

立憲民主党を勘違いして支持している護憲派サヨクを繋ぎ

止める方便でもあろう。

 

だが、言っておくが、全野党のうち、最もアイデンティティーが

明確なのは立憲民主党であり、それは「立憲主義」を掲げて

いるからだ!

民進党から分裂した他の野党にはアイデンティティーがない。

「立憲主義」をもっと前面に出し、国民の理解を深めれば、

自民党をしのぐ明確な理念の党として、リベラルはもちろん、

保守層にもアピールできるはずである。

 

「立憲主義」の立場から言えば、安倍政権はまったく憲法に

縛られていない。憲法を平然と無視している。

憲法違反を平然と行うということは、民主主義が「真っ当に」

機能していないということである。

枝野氏は「真っ当な政治」と言っていたが、ぜひその理念は

貫いてもらいたい。

 

今の憲法では権力を縛れない!

これを直視しない護憲派サヨクは、そもそも立憲主義の意味

すら分かっていない民度の低い者たちである。

社民党や共産党を何故支持しないのか?

 

現在の世論調査を見て、優先度が低いというなら、永遠に

改憲の優先度は低いままだろう。それが民度なのだ。

政治家はただ民度に合わせてやっていれば、国民を救える

とは思って欲しくない。

まさに堕落したポピュリズムである。

 

そんな生易しいポピュリズムでは、民意も憲法も民主主義

も無視する安倍政権の、「権威主義」や「パターナリズム」

を打ち破ることはできない。

 

安倍首相はどんなしょうもない改憲であろうと、「発議」に

もっていくだろう。

憲法改正があるから日本会議や自称保守派は、安倍首相を

支持してきたのだ。

最大の支持勢力を裏切って、自分の首相時代を終わらせる

わけにはいかない。

 

立憲民主党は、代案を出して議論に持ち込むことができな

ければ、党のアイデンティティーを捨てたことになる。

社民党や共産党と一緒に反対運動だけで通したら、まず

小林よしのりは立憲民主党から離れることは間違いない。

その欺瞞を追及することになるだろう。

同時に、サイレント・マジョリティーたる一般庶民の期待

も一気にしぼむことになる。

 

そもそも世論調査の優先度など何の価値もない。

憲法論議は常日頃やっておくのが民主主義の先進国の作法

であって、日本人のように「憲法に無関心」な国民では、

権力がすでに憲法を踏みにじる暴走状態であるか否かも、

見抜くことすらできやしない。

憲法を無視するということは、民主制も無視しているので

あり、それでも国民が怒らないのは異常なのだ。

権威主義に国民が依存し、すでにソフト・ファシズムの

状態が完成しているということである。

 

枝野代表はそこを見抜いて、先手を取ることは絶対に忘れ

ないでほしい。

安保法制や共謀罪で敗北したことから、何も学ばないで、

同じ愚行を繰り返すことは絶対にないように!

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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