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笹幸恵
2017.11.6 15:31

政党政治の成り立ち

日本の政党政治の成り立ちについて、
ただいま少しかじり中。

 

明治憲法は、幕府的存在の出現を防止することを

目的とした、比較的厳格な権力分立制だった。

 

と、『日本の近代とは何であったか』(三谷太一郎著)に

書かれています。

それはつまり、

「立法と行政との両機能を連結する政党内閣を

本来排除する志向を持って」いた、とも。

 

ところが、この権力分立制は結構な問題点を抱えていました。

天皇は政治的な役割を担う存在ではありません。

内閣総理大臣も今のような地位になく、閣僚への統制力もない。

最終的に権力を統合する制度的な主体を欠いていた、というのです。

 

そのため、

「憲法を統治の手段として有効に作動させるために、

何等かの幕府的存在の役割を果たしうる

非制度的な主体の存在を前提としなければならなかった」わけです。

 

その最初の存在は「藩閥」。

ところが藩閥では衆議院を掌握できなかった。

一方の反藩閥勢力は、政党として地方に拠点を据え、

衆院選挙に勝てる仕組みをつくるようになった。

けれども明治憲法下では、衆議院の多数が

権力の獲得を保障しない。

 

というわけで、藩閥と政党は互いに接近。

「政党は藩閥化し、また藩閥は政党化」し、

明治33年、伊藤博文は立憲政友会の初代総裁になりました。

権力分立=反政党的な統治形態を目指したがゆえに、
政党政治が生まれてきたという、パラドックス。

 

「高度に権力分立的な憲法は、それだけでは国家を統治する

有効な道具とはなりえませんでした」

と、三谷氏は書いています。

 

それから政党政治が終焉を迎え、「立憲的独裁」が

政治学者の蝋山正道によって提唱される…わけですが、

このあたりになると頭パンクの予感がしましたので、

今日はここまで。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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