遅ればせながら、次回道場のゲストである
高山佳奈子先生が執筆された
『共謀罪の何が問題か』を読みました。
「テロ等準備罪」は、オリンピックのために
成立が必要だと言っていたのに、全然関係ないこと。
オリンピックで想定されるのはイスラム国のような
テロだけれど、これには全く対応していない
(たとえば単独の自爆テロは対象外である)こと。
もともとの共謀罪法案は国連国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)
参加を目的に作られたものだが、これはテロ対策ではなく
マフィア対策であること。
あとから「テロ等」とくっつけても、中身がテロとは
ほとんど関係ないこと。
これまでも日本はテロ対策として、国際条約などが
できるたびに国内立法を行ってきたこと。
600以上あった対象犯罪が300に減っているが、
除外した中には「公権力の私物化」「経済犯罪」が多く、
マフィア対策にもそぐわないばかりか、
政治家や警察、一部の財界人に有利になっていること。
さらには何をもって「組織的犯罪集団」とするのか、
何をもって「計画」を立て、「準備行為」とするのか、
まったく限定されていないこと。
誰もが通信傍受の対象になり得ること、
監視・密告社会になり得ること、
表現活動や教育・研究が制約され得ること……。
これまで道場やブログなどで
取り上げられてきた話もありますが、
ただ単に「なんとなく怖い」とか
「ちょっとオカしいんじゃないの」という
漠然とした感覚ではなく、理論的になぜオカしいのか、
高山先生がきっちり説明してくださっています。
読むと、その無茶苦茶さに、あらためて腹立たしさが
よみがえってきます。
いえ、怒りを通り越しておぞましささえ感じます。
最も効果的なテロ対策は、安保法制をやめること。
ほんと、その通りだと思います。
アメリカにすり寄るために、自ら日本という国家を
解体しようとしている。
そこには父祖たちの血や知恵や歩みを踏みにじり、
法治国家としての最低限のルールや矜持さえも捨て、
対米従属という名の自己保身に走る安倍政権の姿が
浮かび上がります。
ブックレットなので、とってもコンパクト。
共謀罪の要点を押さえておくのに最適です。
「今さら」と言うなかれ。
権力の肥大化がよーーくわかる事例の一つです。
今後に生かすべし。
国民が賢くならなきゃ、肥大化を止められません。