アフガニスタン・タリバンからイランに逃れてきた
難民少女、ソニータ。
テヘランの保護施設で暮らしている。
彼女の夢は皆を熱狂させるラッパーになること。
アフガニスタンにいる家族は、
息子の結婚資金を得るため、娘であるソニータを
見ず知らずの男に嫁がせようとする。
花嫁の値段は9000ドル。
女性は10代のうちに結婚という名の身売りを強いられる。
それが当たり前。
でもソニータはラッパーになりたい。
そんな彼女を追いかけた映画『ソニータ』を
観てきました。
アフガニスタンに戻れば身売りさせられる。
イランにいても、女性が歌うことは許されない。
監督は取材対象者の人生を変えてはならないと
葛藤するものの、ソニータの八方ふさがりに
何とか活路を見出そうと協力を始める。
監督自身もこの映画の出演者だ。
映画を観ながら、自分が10代のときを思い出していました。
女性は結婚して家庭に入るものだとまだ言われていた。
四年制の大学に入ったら嫁に行けなくなる、
就職もできなくなる、そんなふうにも言われていた。
女というだけでこんなにも選択肢が狭まるなんて。
女の人生のゴールは結婚だと言わんばかりの世間の“常識”。
そのことに強烈な違和感を覚えていた。
もちろんソニータの味わった苦悩は、私なんかの比じゃない。
彼女はパスポートを発行してもらうため、
危険を冒してアフガニスタンへ戻る。
それまで自分が何者であるか証明することができなかった
ソニータの、パスポートを手にした瞬間の喜び。
印象的だったなあ。
多くの沈黙する女性たちの代わりに、
彼女はおでこにバーコードを描き、ラップで叫ぶ。
死の恐怖の味わいながらアフガニスタンから逃れ、
楽しい将来を思い描くことでやっと生きてこられた少女の、
叫びというより、これは慟哭だ。
日本語訳のついた彼女の歌の動画があるので、
関心のある方はぜひどうぞ。
↓ ↓ ↓
ソニータ「売られる花嫁」