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高森明勅
2017.10.12 22:00

トランプに会ってどうする

安倍首相が選挙演説で奇妙な手柄話(?)をしていた。

アメリカのトランプ大統領が11月に来日した時に、
横田めぐみさんのご両親ら拉致被害者のご家族に会って貰う」と。

ところが肝心のご家族には、
政府からまだ何の連絡も無かったようだ。

何とも無礼な話。

安倍氏の関心は、ご家族ではなく、
もっぱら演説を聞く有権者に向けられているのが丸見え。

既に、ご家族はこれまで何人もアメリカ大統領に会っている。

でも事態は1ミリも動いていない。

それを恩着せがましく選挙演説で語る安倍首相の感覚を疑う。

ご家族は「私たちが望んでいるのは(
アメリカ大統領に会う事
ではなく)問題が解決することだ」
という趣旨の感想を述べて
おられた。

当然だ。

余りにも見え透いた選挙対策。

選挙演説の中で、臆面もなく、
こんな話を持ち出す厚かましさに、むしろ腹が立つ。

切実な同胞の悲劇を何だと思っているのか。

そもそも、同胞が拉致されたのだから、
日本の首相が「自らの責任」で、
その人達を取り戻すのが当たり前。

にも拘らず、
アメリカ大統領と「会える」よう“努力”したと、
人前で自慢するとは。

余りにも情けない。

どこまで無責任なのか。

国政の最高責任者としての
当事者意識が致命的に欠落している。

それを、自ら進んで満天下に晒しているという、
己れの無様さにすら気付かないのか。

呆れ果てる。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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