解散後の衆院選の争点の一つは、
消費税10%にした後の、増収分の使い道。
これを国の借金返済から子育て支援に変更するという。
幼児教育の無償化とか、高等教育の負担軽減とか。
「え」と思った。
増収分を子育て支援に充てるというのは立派だ。
少子化だしね。
経済格差も広がっているしね。
出産育児に対する金銭面での不安を払拭するのは
政治の大事な役目だとも思う。
しかし単なる聞こえの良さだけで
言っているような気がしてならない。
あまりに唐突。
それに変更後の使途が立派だからといって
国の借金を無視していいことにはならない。
現在の国の借金は1000兆円を越えている。
家庭なら支出ばかりが多くって破産するところだよ。
国債の保有者はほとんどが国内機関だからつぶれないし、
問題ないという人もいるけれど、じゃあどんどん借金が
膨らんでいってもいいのか。
次世代に借金のツケを回すだけではないか。
「借金は問題ない」という人は、
「自分さえ良ければいい」と言っているに等しい。
収支は考えず金はどんどん使え、というだけなら、
私でももっともらしい理屈をつけて使いまくるよ。
家計のやりくりをしなくていいってことだから
こんなにラクなことはない。
家庭でもそうだけど、まず検討すべきは
収支の見直しだろう。
アベノミクスの成果はそもそもどうなった?
株価がちょっと上がったくらい、
国民に景気回復の実感はほとんどない。
だったら何が良くて何がダメだったのかを
総括すべきだろう。
それが本当の「説明責任」というものではないか。
その上で増税の使途を国民に問え。
もう少しマクロな視点で見るならば、
子育て支援も大事だけれども、
若者がブラック企業で使い捨てされるだけなら
格差は益々広がり、非婚化晩婚化も益々進む。
この上、消費増税で財布のひもは益々かたくなる。
経済対策や雇用問題など抜本的な改革と底上げが
なされなければ、対症療法としての子育て支援を
したところで焼け石に水。
少子高齢化はどんどん進む。経済は益々シュリンクする。
いきなり打ち出した子育て支援をはじめとする
「全世代型」社会保障って、私にはどうしても
一時的で場当たり的な言葉遊びに聞こえてしまう。
国の借金返済という、目立たないけれど「根幹」で
あるはずの部分をあっさりかなぐり捨てて、
万人受けしそうな「言葉遊び」で乗り切ろうとする。
安倍政権の欺瞞的体質は何一つ変わってはいない。