ディプロマット誌シニアエディターの
アンキット・パンダとマサチューセッツ工科大学准教授の
ピピン・ナランが「核保有国・北朝鮮と対峙する日」という
レポートを書いている。
「いつかこうなることは分かっていた。
北朝鮮はしばらく前から、その中長距離ミサイルに
『大きくて重い核弾頭』を搭載できると主張してきた。
6回目の核実験は、まさにその核弾頭の『実力』を確認
するためだったようだ」
「水爆は、北朝鮮が長年構想してきた戦略を
現実にする可能性がある。
その戦略とは、通常戦力による攻撃を受けた場合、
核によって反撃する『非対称のエスカレート』だ。
北朝鮮の通常戦力は空爆を阻止する能力がないから、
韓国や日本、グアムの米軍基地に核の先制第1撃を
仕掛けることによって、アメリカの通常戦力の戦闘能力
を低下させようというわけだ」
「核の先制攻撃で侵攻を阻止し、水素爆弾搭載の
ICBMの脅威で報復攻撃を防ぐーー北朝鮮が生き残るには、
このシナリオしかあり得ない」
「北朝鮮がアメリカの都市に核ミサイルを
撃ち込む能力を手にするなか、同盟関係は『盤石』
だというアメリカの言葉をどこまで信じるべきか、
日本や韓国は頭を悩ませることになるだろう」
「今回の核実験は、欧米が抱く北の非核化に対する
期待が幻想であることを示す明白な証拠だろう。
北朝鮮が自発的に核兵器を放棄することはおそらくない」
「アメリカが北朝鮮の核兵器を全て発見し、
破壊できるとは限らないため、アメリカとアジアの
同盟国が北朝鮮の通常兵器および核兵器による報復を
受けるリスクは解消されないままだ。
今こそ、事実をはっきり認識しよう。
北朝鮮との戦争は『核戦争』を意味する。
つまり現実的には、戦争という道は選べないということだ」
「最終的にアメリカはかつてのソ連、
今のロシアや中国と同じく、北朝鮮と核を持つ
国同士の付き合いをするしかないだろう。
つまり北朝鮮の実力を正しく認識し、
今やアメリカによる侵攻や体制転換を
阻止できる国に変貌したと認める、
ということだ」
極めてシビアな現実認識を示す。
見たくない現実から目を反らすことなく、
これをどう評価すべきか。
そしてアメリカや国連ではなく、
日本はどう対処するのか。