ゴー宣DOJO

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切通理作
2017.8.17 17:35

道場の「幅」


      皇統問題で、男系に固執する者たちに対する違和感を持つ一般の女性は多くても、なかなかそれについて発言してくれる女性文化人がいない。道場ゲストとして、何人かそれまで名前が挙がった人もいたけれど、たしか固辞されたこともあったと記憶しています。


 そんな時、三浦瑠麗さんが、男系固執主義者に対して、いつになく感情を露わにして、その違和感、嫌悪感を「朝生」で発言したことから、ゲストに呼ばれた経緯があります。

 僕はそれまで、リベラルと言いながら、アメリカ中心のグローバリズムの域を出ない、弱者に冷たい人・・・・という印象を三浦さんに対して持っていましたが、思いの他人間的な部分が、この問題では出たなと思いました。ただし「どうせみんな忘れる。飽きっぽいから」という醒めた認識付きでしたが。

 小林さんはそこを糸口に、三浦さんに対し、対話出来る部分を、広げていける可能性にかけたのでしょう。「美人に目が眩まされた」ということにとどまるとは、思えません。

 若手文化人を呼んだ時も、通底するものがあったと思います。本もろくに読まなくても参加できるネトウヨ「文化」ならともかく、なかなか若い人で、積極的に政治や思想に興味を持ち、かつ等身大の部分を持つ人は少なくなってきている。そんな人たちが、道場とリンクする事で、共感できる幅を増やしていけるんじゃないか。

 けれどそういう人たちの中には、結局小林さんの道場に自分が呼ばれたというトピックで満足してしまい、それ以上テーマに踏み込んで来ない人が多かった気がします。

 しかし、そうであったとしても、回路は決して閉ざさない。それが道場の幅であり、社会とかかわる上での重要なところでもあると思います。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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