発売はまだ先になるが、袋とじの『よしりん辻説法』は
相当に過激な私小説というか、私漫画である。
だが、単なるエロ漫画ではない。
そもそもわしが、妻がいながら他の女性との恋愛について
描くことを不思議に思っている人は多いようで、
「通販生活」の対談のとき、落合恵子さんからも大丈夫
なのかと尋ねられた。
わしは「妻は諦めているから」と応えておいたが、
本当を言うと、「作品至上主義」が妻の考えである。
今回の『よしりん辻説法』を読ませたら、「面白い」の
ひとことだった。
作家は作品が面白くなるという誘惑には勝てない。
面白くなるなら、何だって描くのだ。
それを妻は知っている。
松居一代が夫の不倫についてグダグダ言ってる動画は
とても最後まで見ることはできない。
恋人にしろ、夫婦にしろ、相手はモノじゃないんだから、
独占欲や所有欲に執着したって、仕方がないだろうに。
作家は自由である。自由に描く。
作家は「内心の自由が裁かれる共謀罪」と聞けば本能で
拒否反応を示すものだ。
そうしない者は作家ではない。