人間は、思ってもいないことを
咄嗟に口に出すことはなかなかできない。
私が賢くて立派な言葉を発することができないのは、
このためだ。
逆に言えば、普段、心の中で思っていること、
自分の中で「当たり前」に感じていることは、
あるとき、ふとした拍子に出てきてしまう。
「死ね」とか「バカヤロー」とか、
「豊田真由子様にたてつくのか」といったセリフは、
普段そう感じたり考えたりしているから
カッとなったときに出てくるのだろう
(しかも立て板に水の要領で)。
自民党の二階幹事長。
マスコミに不平不満をタラタラ述べた後、
こう言った。
「どういうつもりで書いているか知らんが、
我々はお金払って(新聞を)買ってんだよ。
買ってもらっていることをやっぱり忘れちゃ
ダメなんじゃないかな」
彼の言葉を忖度すると、要するに、
「買ってやっているんだから、
俺たちに都合の悪いことは書くな」
ということですよね。
「俺様は金払ってるお客様だぞ!」と
店で喚き散らす悪質な消費者至上主義者と
メンタリティは何も変わらん。
普段からそう思っているんだろうね。
だから「明日、何を書かれるかわからない」と
わかっていながら、つい口から出ちゃったんだろうね。
本人は苦言を呈しているつもりなのかもしれないけど、
苦言がこのレベルなんだから、底が知れる。
マスメディアの存在意義を、根本的なところで
まったく理解していないのが我が国与党の幹事長。
呆れてモノも言えないが、
ただ一つ言えるのは、
権力が腐敗し、腐臭を放っている様を、
いま、私たちは確かに目撃している
ということだ。