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高森明勅
2017.4.28 09:30

特例法案「骨子」の舞台裏

特例法案の骨子。

当初案の酷さに比べて、
国会の合意に近い線に押し戻されている。

皇室会議の関与はむしろ前進した。

その舞台裏を朝日新聞(4月28日付朝刊)が報じている。

「(自民党政調会長)茂木(敏充)氏と
(民進党皇位検討委員会事務局長)馬渕(澄夫)氏、
公明の北側一雄副代表の3氏が顔をそろえた水面下の協議は
4月)19日、20日、21日と続いた。
民進党の野田佳彦幹事長は23日、記者団に
『(衆参正副議長の)
とりまとめから外れるような動きがあれば、
厳しく指摘しなければならない』と語ってクギを刺し、
馬渕氏には『一切交渉に応じるな』と指示。
馬渕氏は最後まで(
自民党が最も固執した)法案名に
『陛下』がある部分(
これにより一代限りの例外的措置との
印象を強める)を認めず、
24日の最後の交渉も決裂した。
衆院議長公邸で3氏から報告を受けた大島(理森)議長は
議長の責任でもあるので、私に任せてくれ』と引き取った」

政府・自民党は、民進の反対を無視して『陛下』のまま
押し通す構えだった。
流れを変えたのは、
民進出身の川端達夫衆院副議長だった。
これは国会の権威の問題だ。議長が怒らなくてどうするのか』
と憤
った。
大島議長との間で『信頼関係にヒビが入るほどの激論』(
議長周辺)
を交わした末、大島議長は首相の判断を仰いだ。
『「
陛下」を入れますか。それとも私にお任せいただけますか』。
首相は『私も思うところはあるが、お任せします』と答え、
こう言い添えた。
『ただ、
残された課題については十分ご配慮をお願いします』
首相が配慮を求めたのは、
付帯決議に盛り込まれる見通しの安定的な皇位継承の検討について
年限を区切らないことだった」

この問題について民進党の貢献が
絶大である事実を改めて痛感する

もし同党の踏ん張りがなければと思うと、
大袈裟でなく戦慄を覚える。

それにしても、ご譲位をあくまでも
一代限りの例外的措置に押し込め、
皇位の安定的継承への検討をどこまでも
先送りしようとする安倍政
権の姿勢は、異常と言う他ない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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