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高森明勅
2017.1.23 00:00

譲位は何故始まったか?

『歴史人』編集部から拙稿「女性天皇君臨の系譜の謎」再掲載の依頼。

2月25日発行の歴史人別冊『古事記・日本書紀と古代天皇の真実』
に収録するのだとか。

以前にも再掲載されているから、正確には再々掲載か。

その文章の中で、
譲位が何故行われるようになったかについて
述べている。

持統天皇の夫だった第40代天武天皇は壬申の乱(672年)
という古代史上、最大の内乱を勝ち抜いて即位した。
この内乱は先帝で天武天皇の兄だった第38代天智天皇の皇子、
大友皇子を首班とする近江朝廷との激烈な戦いだ。
結局、
敗れた大友皇子は自死している。
朝廷そのものが武力で倒されたのも歴史上、空前絶後のこと。
こんな悲劇は2度とくり返したくないと、誰もが考えたはずだ。
そのため皇位継承にともなうリスクをなるべく軽減する手だてが
められた。
その結果、『皇太子』という地位が確立され、
譲位の慣行が定着し、『太上天皇』という地位が新しく
設けられることになる」

まず皇太子の地位が制度上、確立するのはいつか。
天武天皇とその皇后だった持統天皇の間に生まれた草壁皇子…は、
天武天皇が亡くなって3年たっても即位しないまま没している。
予め決められた次代皇位継承者たる皇太子だったとは考えられない。
持統天皇が希望を託したのは、草壁皇子の第2子の珂留(かる)皇子
(文武天皇)だ。
だがこの皇子は天武12年(683)
の生まれ。
即位にふさわしい30代以降(6・
7世紀の天皇の即位年齢は全て
30代後半より上)になるまで、
自分(持統天皇)の寿命がつづかない
ことは当然、自覚していた。
その年齢の制約を越えるのが、皇太子の制度だった。
持統天皇の治世を太政大臣として支えてきた高市(たけち)皇子が
持統10年(696)7月になくなると、
天皇は直ちに次の
皇位継承者を選定する会議を催した。
…葛野(
かどの)王が『直系』継承によるべきことを主張し
草壁皇子の子の珂留皇子が次代の継承者として定まった。
翌年2月、早速、珂留皇子はわずか15歳で皇太子に立てられ、
そのまま同年8月には持統天皇から皇位を譲られて天皇になる。
これ以前、第35代皇極天皇が譲位した例がある。
だがそれは、
宮中での蘇我入鹿暗殺という異常事態に直面して、
退位を余儀なくされたものだった。

次の継承者に自発的に皇位を譲ったのは、この時が最初だ。

持統天皇は譲位後も幼い文武天皇の後見
にあたった。
その地位は、自らも関与した『大宝令』に『
太上天皇』として
制度化される。
こうして持統天皇の執念によって、それまでの皇位継承のリスクは
大きく後退した」

『日本書紀』には、早くから皇太子という制度があったかのように
書いている。

しかし、それをそのまま史実と見ることが出来ないのは、勿論だ。

歴史上、「皇太子」→「譲位」→「太上天皇」は、
皇位継承の“
安定化”の為の仕組みとして、1つに繋がって登場した。

その背景には、皇位継承にあたり壬申の乱をはじめ、
しばしば流血の悲劇が繰り返された史実があった。

譲位は皇位の尊厳を守る大切な知恵だった。

同じ持統天皇の時代に制定された『飛鳥浄御原令』によって、
国号が「倭」から「日本」に変更されている
(拙著『謎とき「
日本」誕生』)。

また、皇位継承に伴う大嘗祭
古くからの新嘗祭の伝統から大きく飛躍した国家的な祭儀)
も制度的に確立(拙著『天皇と民の大嘗祭』)。

皇祖神を祀る伊勢神宮最大の重儀、
20年ごとの式年遷宮が初めて実施されたのも、
この天皇の時代だった(田中卓氏『伊勢神宮の創祀と発展』)。

今、ご譲位に反対している「保守」系論者がもしその時代にいたら

あくまで「倭国」に執着し、大嘗祭に抗議し、
式年遷宮にも
抵抗したに違いない。

そう思うと笑えてくる。

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「大御心か?権力か?」

平成29年2月12日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

212日(日曜)の「ゴー宣道場」は、

『大御心か?権力か?』と題して、

「生前退位(譲位)」の議論をさらに盛り上げます。

 

ゲストに民進党の細野豪志議員山尾志桜里議員

迎え、大御心に沿う譲位を実現する方法を話し合います。

 

現在、民進党と共産党が譲位は「皇室典範改正」によるべき

と主張しています。

王道を歩むなら党派性は関係ない!

頭山満のように、わしは人格で評価するつもりです。

 

民進党の党勢の復活も、「尊皇心こそが真正保守」という旗を

掲げることにあると、わしは思っています。

細野議員山尾議員の人柄と覚悟を、「ゴー宣道場」に

参加してぜひ知ってほしい。

 

大御心を踏みにじり、権力を盤石にすることの危険性を、

「ゴー宣道場」で大いに議論しましょう。

応募締め切りは21日(水曜)です。

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

申し込みフォーム

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

※「申し込み確認メール」が届かない方は、以下のような原因が考えられます。

・迷惑メール対策サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている
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reply@gosen-dojo.com」からのメールを受信できるよう再設定をお願い致します。

「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください絵文字:重要


申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
プリントアウトができない方は、当選メールの受信が確認できるもの
(携帯電話、タブレット等)をお持ちの上、ご来場ください。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成29年2/1(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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