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高森明勅
2016.12.15 01:00

有識者会議という呆れた猿芝居

ご譲位を巡る有識者会議が、一代限りの特例法で対応する
方向性を目指しているとの報道。

有識者会議が設置される前から予想された通りの結論だ。

どこまで天皇陛下を蔑ろにすれば気が済むのか。

特例法は、特定の人を対象とする対人法を禁じる
近代の立法原則そのものを、
踏みじる。

皇位の継承は皇室典範によるべきことを特に規定した
憲法にも明白
に違反。

これまで実施されて来た各種世論調査の結果に繰り返し示された
意ともかけ離れている。

何より陛下のお気持ちに反する。

しかも、特例法でも皇室典範の改正でも、ご譲位について
規定すべき内容は、殆ど重なる。

違うのは、重要な意味を持つ「譲位の要件と手続き」について、
恒久的なルールを定められなくなるという一点。

これは致命的な欠陥で、強制や恣意的な譲位を防げなくなる。

報道によると、会議のメンバーから恒久的な制度化は
強制的な退位が可能となり、象徴天皇と政治のあり方を動揺させる」
などの意見が相次いだという。

馬鹿なのか。

全く逆。

恒久的なルールが“なければ”そうなる。

更に、高齢化は今後も変わらない。

だから、2、30年後にはまた全く同じ課題に直面することは明らか。

皇太子殿下
も秋篠宮殿下も陛下と同じお気持ちである事は既に
明らかになって
いる。

安倍政権にとってはお約束通りの進行。

だが、こんな無理、無茶、無謀を決して強行させてはならない。

まさに国会の良識が問われる。

自民党の中に正気を失わないでいる議員は“1人も”いないのか。

野党はこのような時こそ奮起すべきだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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