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高森明勅
2016.11.14 01:00

国家と個人

グローバル化の停滞、または反転という傾向が、
かなり明確に見え始めている。

それは「国家」の再浮上を意味する。

そこで「国家と個人」を巡るエマニュエル・トッド氏の発言を、
改めて顧みておこう。

核家族は個人を解放するシステム、個人が個人として生きていく
ことを促すシステムですが、
そうした個人の自立は、何らかの社会的
な、
あるいは公的な援助制度なしにはあり得ません。
より大きな社会構造があって初めて個人の自立は可能になります」

「個人の自立は公的・社会的な援助制度、
つまり今日の文脈で言えば、
国家を前提としている」

ネオリベラル革命の皮肉な結果として、成人になっても経済的に
親元を離れられない子供が急増しました。
ネオリベラリズムは、個人主義であると言われていながら、
実際には個人の自立を、つまり個人主義を妨げているのです」

フランスでは、初等教育から高等教育まで費用を親ではなく、
国家が負担することで、核家族が維持されています。
フランスの個人主義は強力な国家の存在によって成立しているのです」

「国家こそ、個人の自由の必要条件です。『個人』の成立には
『国家』が必要なのです」

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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