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高森明勅
2016.10.21 01:00

天皇は「ロボット」ではない

戦後の憲法学は天皇を「ロボット的存在」(宮澤俊義氏)
と見なそうとして来た。

だが天皇陛下は、皇太子時代にこうおっしゃっている。

「立場上、ある意味ではロボットになることも必要だが、
それだけであってはいけない。その調和がむずかしい」
昭和44年8月12日)と。

陛下は、その調和点を歴史の中に、
つまり“天皇の伝統的在り方”において発見されたのではないか。

その発見の上に立ち、“全身全霊をもって”
見事な「能動的」
天皇像を築き上げて来られた。

陛下を「ロボット的存在」と思う国民など、
今やどこにもいないだろう。

ところがあろうことか、
それを戦後憲法学的な天皇像に
押し戻そうとする動きが、
官民の間に見られる
(宮内庁の次長人事や保守論客らの暴言、
更に有識者会議の論点を
想起せよ!)。

警戒が必要だ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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