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笹幸恵
2016.10.18 15:58

専業主婦の労働価値

TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」第二話を観ました。

星野源さん好きなので。

新垣結衣ちゃん演じる「みくり」が家事をして、

星野源さんはそれに給料を払うという契約結婚・・・

のドタバタストーリー。

気楽に観ることのできるラブコメなのですが、

これがなかなか興味深い。

 

専業主婦の家事労働の評価額は年収約304万円。

そこから諸々必要経費を差し引かれ、

「みくり」は月給194000円をもらっているそうな。

 

年収304万円は、無償労働を貨幣で評価した場合の

内閣府の試算です。いろいろな計算式がありますが、

ややこしいので省略。

ほかにも、家事労働を計算しているサイトがあって、

年収400万円もあれば1600万円という試算結果も。

 

一方、「マイナビウーマン」というニュースサイトが

今年4月にアンケートを実施(男203件、女201件)したところ、

専業主婦の年収で妥当な額として、

女性は200万円」が最も多かった(9.5%)そうです。

で、男性のトップはというと・・・

なんと0円」!!!(12.9%)

 

そりゃ無償労働ですから、お金に換算するのも

専門家でない限り感覚的にならざるを得ませんが、

それにしても0円」って!!!

 

家事労働になーーーんの価値も見出していない男性が、

世の中にはまだまだいるんですね。

そういう人って、誰のおかげで毎日きれいなパンツが

はけると思っているのだろう。

黙ってりゃ、タンスにパンツがきれいにたたんで

入っているんだろう。それが当たり前なんだろう。

洗濯は洗濯機がやってくれますけどね、

洗濯ものをたたむのだって愛情が必要なんです。

ロボットが自動的にたたんでいるわけではありません。

いつもいつも感謝してくれとは毛頭思わないけれど、

「金を払う価値なし」と言われたら、やっていることが
無意味だといわれたようで、モチベーション下がるわーーー
絵文字:困った?冷汗

 

それとも「俺様が稼いでいるのだから、世話して当然」という

意味での「0円」なのだろうか。

外で金を稼ぐ人と、家の内のことをやる人。

そういう役割分担だから、帳消し(=金換算はしない)という意味?

それならこういう言い方も成り立つ。

「私が世話しているんだから、稼いできて当然」

どっちにしろ、こうして相手への感謝の気持ちが

なくなっていくって、なんだか寂しい。

 

それなら、いっそのこと家事は「有償労働」とお互い割り切って、

ビジネスライクに家庭(というか共同生活?)を成立させるという

手もあるのかもしれない。

ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は、

まさにそんな時代を先取り(?)した設定です。

 

専業主婦(主夫)の労働価値が「タダ」だという人って、

「ラクできていいよなーーー」とか思っているんだろうな。

共稼ぎでなければ生活が成り立たない今、専業主婦は、

ある意味では特権階級だろうとは思う。

でも、門弟の方のメーリングリストを見ていても、

あるいは専業主婦の私の友人を見ていても、いやホント大変です。

「久しぶりに自分の時間が持てた」と無邪気に喜ぶ友人を見ていると、

頭なでなでしたくなる。よくがんばったねって。

  

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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