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小林よしのり
2016.9.16 00:59芸能など

新海監督の「君の名は。」に感心した


『君の名は。』が予告編を見たときから気になっていた。

昭和28年頃に国民的大ヒットとなったメロドラマと

同じタイトルを使って、現代に甦らせたいものとは何

だろう?

 

公開されると凄い瞬発力で観客を増やして、あっという

間に『シン・ゴジラ』を超える勢いの大ヒットになって

いるようで、気になってとうとう見に行ってしまった。

 

アニメは基本的に嫌いだし、監督がオタク系の作風だと

聞いていたから、それならなお苦手かもと思っていたが、

なんと全然オタクな映画ではなかった。

 

『君の名は』『時をかける少女』『転校生』などの過去の名作

のエッセンスが、巧みに組み合わされ、SF的な要素が日常に

溶け込んでしまっている。

 

宮崎駿のような絵柄のオリジナリティはないし、芸術的な

ひとりよがりもないので、退屈になりかねない作品だが、

それでも展開の絶妙さと、絵の美しさに魅せられて、

あっという間に見終わってしまった。

 

ちゃんと戦後の名作『君の名は』のすれ違いの要素も取り

入れてあるし、現代の少女たちがこれにキュンキュンする

だろうことも十分に分かる。

 

今の少年少女、あるいは若者は、真知子巻きの『君の名は』

を全然知らないだろうし、『転校生』も『時をかける少女』

も知らない者が多くなっているだろう。

過去の名作のコンテンツを再利用して、現代のテクニックと

感性でよみがえらせるというのは、伝統の継承として正しい

方法論だ。

永遠に継承される魂はあるのであって、伝統は現代の社会

の中に常に内在させなければならない。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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