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高森明勅
2016.8.17 03:00

「譲位」を巡る知識人の発言チェック

福島第1原発の事故で専門家への信頼は一挙に崩れた。

天皇陛下のご譲位へのご意向を巡っても、
知識人のかなり怪しげな発言が目につく。

(1)法政大学総長の田中優子氏。
「皇室典範には『
天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する』と
あるが、
退位に関する規定はなく、退位による継承を妨げない文面と
読める。…改正は必要ない」
北海道新聞8月9日付)

ええっ?これには驚いた。
この人は、法律にわざわざ禁止していなければ、
全て「妨げない文面」
と読んでしまうらしい。

つまり、“ネガティブリスト”だと。

これなら例えば、今の典範には皇位継承資格について、
“女子”
も“女系”も「規定はなく…妨げない文面と読める」ことに。
そんな馬鹿な話はない。
「退位に関する規定はなく…」なら、
しっかり改正して規定を
追加しないと、譲位は可能にならない。

何だか、大学の新入生に説明している気がしてきた。

プロフィールを見ると近世文学が専門とか。
だったら発言は差し控えておけば、恥を晒さずに済んだ。

(2)慶應義塾大学教授の笠原英彦氏。
「法律というものは、
どうしても時代の変化に伴い見直しが必要に
なる。しかし、
安易に法律の一部を改正すると、法律全体の体系性を
損なうおそれがある。当面は(
皇室典範を改正しないで)公務の軽減と
摂政の規定に関する拡大解釈や弾力的運用を検討した
上で、
場合によっては何らかの特別立法などを慎重に模索すべきであろう
(『中央公論』9月号)

これだけの短文の中にダメダメ発言“だけ”を盛り込んでいるのは、
さすがに珍しい。
公務の軽減と摂政の…弾力的運用」は既に陛下ご自身が否定された。
「何らかの特別立法」
は明白な憲法違反。
何一つ、採用すべき内容がない。
この人は法学で博士号を取っておられるのだが。

(3)作家の竹田恒泰氏。
「NHKが『生前退位』との語を使用し、
報道各社が揃って
『生前退位』の語を用いたが、
私は間違いではないが不適切である
と考える。…
産経新聞が7月14日付朝刊に『天皇陛下“生前退位”』
との見出しを掲げたことを、私はとても残念に思っている」
(『
正論』9月号)

この人を知識人と見てよいかは無論、様々な意見があり得る。
それはともかく、「生前退位」
という語は以前に紹介したように、
昭和21年に法制局が作成した「皇室典範案に関する想定問答」
既に使用されていた。

その後も、憲法の注釈書や教科書などに普通に使われ続けている。
法曹関係ではとっくに定着した用語だろう。

だからメディアも当然のように使用したのではないか。
それが結果的に、一般の人々には分かりやすく、強い印象を
与えることになった。

手元の蔵書からたまたま目についた例を、いくつか紹介する。

宮澤俊義、コンメンタール『日本国憲法』(昭和30年、
日本評論社)
には「本条(憲法2条)は、かならずしも、
天皇が生前に退位すること
を禁止する趣旨をもつものではない。
将来…(皇室典範を)改正することは可能である。
天皇の生前退位をみとめるべきや否やは…」
58から61ページ)と。

伊藤正己ほか『注釈憲法〈第3版〉』(平成7年、有斐閣)には
「憲法の要求ではないから、
皇室典範を改正することによって、
天皇の生前退位を認め…
ることができる」(13ページ)と。

奥平康弘ほか『憲法を学ぶ』(平成8年、有斐閣)には
生前退位を認めてはどうかという議論は、考慮に値します」
271ページ)と。

大石眞『憲法講義1〈第2版〉』(平成21年)には
「(今の制度では)生前退位は認められない」(
113ページ)と。

長尾一紘『日本国憲法〈全訂第4版〉』
平成23年、世界思想社)には「(今の制度では)生前退位は、
認められてない」(30ページ)と。

もう、これくらいで止めよう。

それにしても竹田氏は以前、憲法学者を名乗っていたのでは
なかったか。

どうして今更「生前退位」で大騒ぎしているのか。

不思議だ。

以上は氷山の一角かも知れない。

くれぐれもご用心。

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緊急開催!!


天皇陛下のお気持ちをなぜ叶えないのか?」

平成28年9月11日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

911日(日曜)、「ゴー宣道場」を

緊急開催します。

天皇陛下のお気持ちをなぜ叶えないのか?

政府は皇室典範に手を付けず、「一代限りの特別立法」で

済ませるつもりです。

決死の覚悟で「お言葉」を表明された天皇陛下のお気持ちを

踏みにじることになります。

 

我々は陛下を応援します。

天皇陛下は孤独ではない。

我々は「承詔必謹」だと示しましょう。

 

急な決定なので、師範の都合が合うかどうか心配だったの

ですが、高森氏が「最悪2人だけでもやる」と言い、

笹さんも泉美さんも理作氏も即決OKでした。

 

一般参加者を募集しますが、例え少人数になっても我々は

開催します。

設営隊の諸君は何名集まるか?

ただちに確認してください。

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

※「申し込み確認メール」が届かない方は、以下のような原因が考えられます。

・迷惑メール対策サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている
・着信拒否サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが着信拒否の対象となっている
・ドメイン指定受信を利用していて、「gosen-dojo.com」のドメインが指定されていない
・セキュリティソフトやメールソフトで迷惑メール対策をしていて、 「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている

reply@gosen-dojo.com」からのメールを受信できるよう再設定をお願い致します。

「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください絵文字:重要


申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
プリントアウトができない方は、当選メールの受信が確認できるもの
(携帯電話、タブレット等)をお持ちの上、ご来場ください。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成28年8/31(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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