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切通理作
2016.8.10 00:49

陛下と国民の願い


   陛下のお言葉を聞いて、さまざまな印象を持つ人がいる。リベラル派の中には「個人として」という前置きの部分に、肉声を聞き取ろうとする人がいる。笹さんのように、陛下が「公」のことしか言っていないところに注目する人もいる。

 

  しかし、これは矛盾ではないと、先日の道場に参加した人ならだれしもが思うだろう。

  陛下は、個人として、公のために尽くすという「天皇」の立場を受け容れられたのだ。

 

  そして多くの国民が、そのことに潜在的に気付いたからこそ、そこに自分たちへの限りない愛と慈しみを感じたはずである。そして陛下が日本にいらしてよかったと、温かい気持ちに包まれたのではないか。

 

 「天皇陛下の言いなりに『決まり』を変えていいのか」と疑問を唱える向きがあろうとも、天皇陛下と国民との、そのような温かみを持った関係の持続が、どのようにしたらなされるのかに、問題は集約される。

 

 だがその「気付き」の示す方向が価値紊乱者たちによって捻じ曲げられ、結果的に摘み取られ、踏みにじられることがあってはならない。


  それだけを、切に願っています。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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