前回の道場、前半は権力を監視するジャーナリズムの役割という点では学ぶべき事が多かったが、この日の道場のテーマ展開という点では「このままではヤバイ」と感じ、休み時間に僕の方から提案して、『民主主義という病い』それ自体のゲストの感想、そして参院選の当日であるということを活かし、投票行動のありようの表明から第二部をスタートしてもらった。
結果、第二部の方が「第一部」的な内容になったと思う。
しかし小林さんの言うように、それでもまだ、「民主主義の限界」という本質とバッティングし得る議論にまでは達していなかった。
ハッキリ言って「せつないかもしれない」での衣緒菜さんの感想の方が、よっぽど本質を衝いていたと思う。
衣緒菜さんは世の中で起きている事にまったく無関心な若者ではない。安保法案のデモも覗きに行った事もある。しかしデモに行くことが自己満足になっているのを感じ、世の中への主体的な参加意識の共有につながるのか疑問に思ったという。
そして政治に関心のある人とない人が同じ投票の重みを持つ事の矛盾に気が付いたという彼女は、投票する人間を吟味して見つからなかった場合は、たとえ棄権することになったとしても、責任が持てない投票よりはましなのではないかという思いに達した。
これは実は、道場当日の小林さんの現時点での思いとまったく同じではないか。
小賢しい知識の集積で本質をごまかすことなく、物事を見ている若者はいるのだ。
グルメに対する見解や舛添バッシングに対する見解もまったく同様である。
参院選の結果が出た後、投票しない若者を無知ゆえと一方的に断罪し、痛い目を見ろとのたまう、自らは共産党に投票すると表明した大学の教員(漫画研究者)がいて、いま炎上騒ぎになっているが、そんな「知識人」には見えていない時代の真実があるのではないだろうか。
道場では、単なる「お祭り騒ぎに乗っかればいい」という空気とは距離を置く議論をこれからもしていきたいところだ。
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