ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2015.12.25 00:39日々の出来事

クリスマスが廃れた理由


昨日はクリスマスイブだった。今日がクリスマスだ。

だがもうすっかりクリスマスは廃れた。

子供がいる家庭ではクリスマスをやってるのかもしれないし、

都会の中心部ではムード出そうとしてるのかもしれないが、

往年の年中行事的な勢いはもはや見られない。

六本木か恵比寿のイルミネーションを写メ撮る田舎者が群れて

いるくらいのものだろう。

 

かつてはバーで一杯ひっかけたパパが、ケーキをぶら下げて、

鼻眼鏡を付けて、パーティー用の三角帽子を被って、赤ら顔で

「メリー・クリスマス」と言いながら帰宅していたものだが、

そんな光景も今は見られない。

 

あるいは恋人同士が肩を寄せてプレゼントを交換し、聖なる夜に

性なる儀式を始める習わしも潰えた。

 

昔はクリスマスと正月は、男が帰宅して家族サービスをするから、

愛人が憂鬱になって、自殺するのが一般的だった。

あのころ自殺した愛人は犬死だ。

 

WHAM!のラストクリスマスか山下達郎のクリスマスイブは、

街に出たら必ずかかっていたのに、今年は達郎を一回聴いた

のみだった。

 

大学生の分際で、女にやらせてもらうために予約していた

赤坂プリンスホテルも今はなし、バブルは遠くなりにけり。

 

今じゃそのお株をハロウィンに奪われて、商売も西洋お化けで

儲ける方にシフトした。

 

結局、家族の紐帯が綻んで、ネットで他人とかりそめの絆を

結ぶ、砂粒の個人がほとんどになってしまったから、

クリスマスは衰退したのだろう。

家族を崩壊させるのは資本主義である。

それは夫婦同姓や別姓という、たかが苗字の問題ではない。

わしは社会主義者ではないが、無制限の資本主義には警戒を

怠らないくらいのバランス感覚は持っている。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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第119回 令和6年 11/2 SAT
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テーマ: ゴー宣DOJO in広島「原爆の悲惨さはなぜ伝わらないのか?」

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