ゴー宣DOJO

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高森明勅
2015.12.16 06:12

電車の座席に横になって寝ている人を見かけたら?

「道徳リベンジ」とのタイトルを掲げた第52回ゴー宣道場。

やむを得ない事情ながら初めての遅刻で、
いきなり不道徳ぶりを
発揮。。

申し訳なかった。

尤も、高森なんか来ない方が良かった、と感じた人がいたかも。

終了後、語らいタイムを早めに切り上げて、移動。

道場運営の縁の下の力持ち、
設営隊の皆さんと美味しいタイ料理を
食べながら、懇談した。

道場の余韻が残っているらしく、色々な質問を受けた。

どうやら、この人たちは討議で疲れた師範を労ろうとか、
空腹だろうからせめて食事くらい楽しませてやろうという、「道徳心」
を持ち合わせてないようだ。

というのは冗談。

むしろ質問自体を楽しませて貰ったし、熱意に頭が下がった。

その中で、こんな質問が。

電車の座席にデーンと横になって寝ている人を見かけたら
どうしま
すか?」と。

たまに見かける光景。

全く無防備に電車で熟睡していても、財布も盗まれず、
身ぐるみ剥がされる危険もないのは、いかにも日本らしい安全さ。

正義感溢れる質問者の口振りでは、
寝ている人に些か憤慨している
気配。

その場でも手短に答えたが、ケースバイケースで、原則的には
「放置」。

寝たい人がいて、寝られる空間があるのなら、そのまま寝かせて
上げれば、ということ。

至ってシンプル。

終着駅に着いてもグッスリ寝ていて、そのまま放置するのが
気の毒だと思えば、起こして上げれば良い。

そのまま放置していても、車掌か駅員が起こすし、
寝すぎて本人に何か多少の不利益が生じても、それはそれで不用意に
寝たことを反省する機会になる。

では、乗客が立て込んで来ても寝ている場合はどうか。

一般的には、座りたい人がいたら、その人が自分で何とかするはず。

だから、わざわざでしゃばる必要はない。

よって、ここでも原則、放置。

但し、老人や足の不自由な人などが困っていたら、別。

優しく起こして席を空けて貰う。

その時、無駄に大声を出したり、足蹴にしたりするのは論外。

寝ていた人は腹を立てるだろうし、座らせて上げたかった人たちにも
迷惑。

また車内の他の乗客まで不快にさせる。

明らかに不道徳な振る舞い。

車掌や駅員を呼んで大袈裟にするのも、考えもの。

彼らはマニュアル通りにしか対応できない。

なので、電車の運行そのものに支障をきたし、大勢の人々に迷惑が
及びかねない。

もしダイヤの乱れを生じさせたら、迷惑の程度は、たかだか2、
3人
分の座席を占領して寝て
いた人より、遥かに大きい。

私自身、何度か経験しているが、酔っていたり、疲れたりして
寝ている人も、
丁寧に優しく起こして上げると、不機嫌にもならず、
座り直して、
そのままスヤスヤ眠るものだ。

時には、ぼんやり目が覚めても、周りに人が立っていて、
逆に起き辛くなっているケースもある。

そのような場合、渡りに船と起きてくれる。

が、それらは例外的なケース。

特に事情がなければ寝させて上げる。

それが正解かどうかは知らない。

でも私が今、身に付けている道徳のレベルでは、
その程度の回答しかできない。

また別に、私が車内などで迷惑行為を注意して、
反撃された経験はありますか?」という質問を複数の方から頂いた。

実は、私が記憶しているところでは、3回ほどあった。

これは面白いので、いずれ機会があれば。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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