ゴー宣DOJO

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切通理作
2015.10.12 01:28

第50回道場「憲法九条で平和は守れるか」に参加して


人は、長く続いたものを

変えたくないという習慣性を持つとはよく言われます。

 

憲法九条にしても、細かい事はわからなくても

長く続いたものをいじってしまう事に、

なんとなく抵抗があるという人も多いのではないでしょうか。

 

そこへ「軍事」と言っても即殲滅戦ではなく、

平時からの軍事戦略をイメージさせる事の重要さを説いたのが
昨日のゴー宣道場のゲスト・松竹伸幸さんだと思います。

 

人が習慣に縛られるのは、未知なものが怖いからです。

未知なものがなぜ怖いかと言うと、イメージできないからです。

 

イメージ出来る材料を出来る限り現実に即して

提示する松竹さんのお仕事の意義を、

改めて感じる事が出来ました。

 

その一方、憲法九条改正論議を、そうした軍事戦略の

具体的なイメージの、国民間の共有化がなされた「後」に

位置すべきなのかどうかが、

議論になりました。

 

戦後の日本がアメリカの占領下にあるという前提から

目をそむけたまま、その上に出来た「憲法九条」を
前提に、軍事戦略を考えるのはいかがなものか。

平和憲法の「骨肉化」が
日本国民になされているという松竹さんの見解に、

「いや、骨肉化されねばならないのは、いまだアメリカの属国であるという

認識の方ではないだろうか」という疑問が提出されました。

 

また、国民がだんだん自立出来るまでは、アメリカの属国である事は

やむをえない・・・・という会場参加者の意見に対して、小林さんは

ニートの例を出し、ニートが自立できる精神を鍛えられるまで

待つなどというのはナンセンスで、いますぐ外に放り出せば、

自分で生きる為に戦って事を覚えざるを得なくなるのではないかと

発言。

 

ただ同時に、いますぐ国民投票したとしても、

アメリカから自立したいという国民は多くはないだろうと

いう認識は、小林さんも松竹さんも同じでした。

 

その空気をどうしたら変える事が出来るのか。

少なくとも私は、松竹さんの本によって、以前よりも軍事というものに対して、

イメージする事が出来るようになりました。

 

松竹さんは、御自身がゲストに出られた回の道場を単行本にしたいとおっしゃっていました。

 

いまの時代に必要な論点の提示になるといいなと思います。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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