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小林よしのり
2015.10.4 05:02日々の出来事

日本における民主主義の受容と変容


『大東亜論』で自由民権篇を描いているので、植木枝盛や

中江兆民がどのくらい民主主義の観念を理解していたのか

を知っておかねばならず、ルソーと比較すると全然違っている

と思わざるを得ない。

 

フランスやイギリスやアメリカとの比較を検討しても、

各国バラバラなのだが、それにしても日本の民主化の特殊性は

際立っていて、なにしろ天皇の大権を浸透させることが国民

を作るという矛盾から出発するものだから、原理的には

民主主義というイデオロギーが浸透するはずがない。

 

若者たちが、民主主義とはデモだと断言しているが、一体

何を言っているのか全く分からない。

直接民主制こそが民主主義だと言いたいのなら、まず我々に

徴兵制をと叫ぶしかない。

 

結局は百姓一揆と同じなのだから、彼らとて民主主義など

望んでいないのである。

彼らを称賛するマスコミも知識人も、民主主義など考えても

いないだろうし、彼らを批判する自称保守ネトウヨ勢力に

しても民主主義など関心も持っていないのは見え見えだ。

 

本来的な民主主義の捉え方と、明治からの自由民権運動の

齟齬を、どう評価し直すのかというところまで考慮しながら、

今後の『大東亜論』を描いていく必要がある。

そのためには、もっともっと本を読む必要がある。

思想と史実と物語のバランスをどうとるかが挑戦のしどころ

だろう。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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