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高森明勅
2015.9.18 14:21

「存立危機事態」という呪文

今回の安保法制のキーワードは「存立危機事態」。

この言葉に同法制のトリックがよく表れている。

定義はこうだ。

我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、
これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福
追及の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」。

我が国が戦後、初めて集団的自衛権の行使容認に踏み込むにあたり、
それを憲法の制約内に「限定」する為に設けたとされる要件だ。

だが、既に指摘されているように、集団的自衛権を発動するには、
武力攻撃を受けた国が、はっきり援助を要請することが前提
ニカラグア事件に関する国際司法裁判所の1986年の判決)。

とすると、逆に当該国の要請がなければ、
「我が国の存立が脅かされ」ていても、何もできないことになる。

明らかに可笑しい。

そもそも、「他国に対する武力攻撃が発生し」、それによって
「我が国の存立が脅かされ」る事態って何だ。

そんな事態、本当にあるのか。

国の「存立が脅かされる」とは、これまでの政府見解との整合性などを
踏まえると、主権の維持を危うくする、他国からの急迫、不正の侵害が
なされた場合ーと考える他ないだろう。

経済的な不利益を被るなどとはレベルが違う危機だ。

なのに、他国への攻撃によってそんな危機がもたらされる、
などという奇妙不可解な現象が、現実に起こり得るのか。

ヒモの亭主が、カミさんを襲われて収入が途絶え、路頭に迷う、
なんて話ではない。

無理やり想定すれば、在日米軍基地への攻撃くらいか。

だが、それは我が国土への攻撃。

当然、自衛隊基地などに対する攻撃も予想される。

まさに日本有事そのものであり、個別的自衛権で対応すべき場面だ。

その他にあり得たとしても、とにかく他国への攻撃が、
そのまま我が国に対する武力攻撃の着手を意味するような事態しか
考えられない。

ならば存立危機事態とは、実は個別的自衛権で対応できるケースに
だけ、当て嵌まることになる。

ところがこの点につき、政府の答弁はまことに曖昧。

政府の判断で自由自在に認定出来るような発言をしている。

しかし、そうであれば、何ら限定的な機能を果たせない。

このような「要件」を設けたこと自体、無意味になる。

つまり、新しく設けたことが無意味か、無意味でない運用をすれば
事実上、集団的自衛権を行使できなくなるーというシロモノ。

改めて言うまでもなく、「集団的自衛権」とは元々、
他国を防衛する権利。

なのに、政府・与党は「自国防衛以外、絶対に集団的自衛権は
認めない」と断言する。

明白な嘘か、嘘でなければ無駄な法律と公言しているに等しい。

集団的自衛権を行使する必要があるなら、
憲法改正に努めるしかない。

憲法をこのままにして、集団的自衛権に手を出そうとしても、
最悪の二者択一を迫られるだけ。

憲法上も安保法制上も、出来ないことを出来るように装って、
アメリカや保守系国民を騙すか、明治以来の国是である立憲主義を
踏みにじり、
これまでの国民への説明も覆して、自国防衛“以外”
集団的自衛権(トートロジーだが)の行使に踏み出すか。

いい加減、国防を巡る欺瞞に終止符を打つべきだ。

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「憲法9条で平和は守れるか?」

平成27年10月11日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

「第50回ゴー宣道場」(1011日)のテーマと登壇者が
ようやく
決まった。


テーマは
『憲法9条で平和は守れるか?』である。


多分、安保法制も通されるだろうから、
集団的自衛権行使で、
憲法9条は守られる。


さて、それで平和が守れるのだろうか?

 

8月の「ゴー宣道場」に続き、再びゲストに
松竹伸幸氏招き、9条と国防の問題を議論する。

 

そして「ゴー宣道場」のもう一人の師範・堀辺正史氏

久しぶりに登壇してくれることになった。


面白い議論になりそうだぞ。

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

※「申し込み確認メール」が届かない方は、以下のような原因が考えられます。

・迷惑メール対策サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている
・着信拒否サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが着信拒否の対象となっている
・ドメイン指定受信を利用していて、「gosen-dojo.com」のドメインが指定されていない
・セキュリティソフトやメールソフトで迷惑メール対策をしていて、 「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている

reply@gosen-dojo.com」からのメールを受信できるよう再設定をお願い致します。

「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください絵文字:重要


申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成27年9/30(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ


高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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