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高森明勅
2015.6.27 02:43

恐ろしい判決

朝日新聞デジタル(6月26日)によると―。

東京・目黒での事件。

女が男を殴り殺した。

武器も使わないで、特に格闘技などを身に付けた訳でもない女性が、
男性を「
殴り殺す」なんて。

かなり珍しい。

実は、殺された男性は要介護状態だった。

つまり、介護を必要とする無力な男性が、無慈悲に殺された訳だ。

にも拘らず、殺した女性は執行猶予付きの判決。

事実上、お咎めなし。

よほどやむを得ない特別な事情でもあったのか。

殺したのは71歳の妻。

殺されたのは79歳の夫。

夫は大企業でせっせと働き、妻には生涯、
何不自由ない暮らしを与え続けて来た。

だが1度だけ、36年も前に不倫。

ただそれも、妻に見つかり謝罪して、一件落着のはずだった。

だが老年を迎え、胃ガンの手術を受けて、妻の介護が必要に。

ある日、たまたま話が大昔の不倫に及んだ。

その時、つい気を許して、
それまで話していなかった不倫相手と旅行に行ったことなどを、
何気なく喋ってしまった。

刑法が改正される迄は、殺人罪でさえ25年で時効。

36年前の不倫なら、それを遥かに越えている。

だから、夫が気を許しても仕方がない
と、私は断固又は密かに同情する)。

だが、妻は怒り狂い、無力な夫をボコボコに殴り倒して、
殺してしまった。

何と凄惨かつ残忍極まる殺人事件か。

と思うが、検察は傷害致死罪で起訴。

求刑も僅か4年。

人が一人死んだというのに、4年の罪だと。

で、東京地方裁判所の判決はどうだったか。

懲役3年、執行猶予5年。

要は、5年経てばチャラということ。

これは恐ろしい判決ではないか。

世の妻たちに、夫に旧悪があれば殺して結構!
とお墨付きを与えたに等しい。

しかも、旧悪が一切ない夫なんて、
噂には聞くが(私以外に)
本当に実在するのか?

何とも恐ろしい判決ではないか。

百パーセント他人事ながら、(私が存じ上げている人物の為にも)
戦慄を禁じ得ない。

なお、以上の件につき、事実誤認があったり、
事実誤認がなくても家内の目に触れるなどのことがあれば、
直ちに撤回する。

念のため。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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