あれは何年前か。
既に1人暮らしをしていた長女から
ペットの犬を1匹、 押し付けられた。
どちらかと言えば嫌々、飼い始めた。
まぁ娘の頼みだから仕方がない、と。
餌をやるのも、散歩に連れて行くのも、全て私。
むーすけは早く私になつき、私も可愛がった。 膝に乗ったり、いつも側にいる。
毎日必ず早朝と夜、
少なくとも2回は散歩した。 深夜に帰宅しても、欠かさない。
昼間に長めの散歩をする。
穏やかな風に吹かれながら、
一緒に歩く。 彼方に富士山がくっきりと浮かぶ。
出かける時に、犬用のバックに入れて、一緒に遠出することも。
郷里の倉敷にも連れて行った。 歩く速度がめっきり遅くなった。
長く歩きたがった。
昨日も出かける前に2回、散歩してやった。 餌も美味しそうに食べた。
近頃は年をとって、玄関のドアの音だけでは、
以前のように飛び出して来ない日もある。
書斎に入る。
家内も呑気に「もう年だから、寝させておけば」などと言う。
だが、いくら声をかけても起きない。 目を開いたまま。
体を強く揺さぶっても起きない。 家内にも気付かれず、むーすけは死んでいた。
苦しんだ風はない。
毛が抜けかけた時を除き、1度もない。
餌をせがんで跳びはね、くるくると何回も回った。
安らかに死んだ。
抱き抱えて、いつもの散歩道をゆっくり一巡した。
むーすけは私に、これまで沢山の癒しと安らぎを与えてくれた。
ありがとう。
既に1人暮らしをしていた長女から
ペットの犬を1匹、
白いポメラニアンで、名前はむーすけ。
最初は、
まぁ娘の頼みだから仕方がない、と。
家内は殆どノータッチ。
餌をやるのも、散歩に連れて行くのも、全て私。
むーすけは早く私になつき、私も可愛がった。
私が家にいる時は、
やむなく外泊する以外は、
少なくとも2回は散歩した。
雨が降っても、
自宅で仕事をする日は、
近くに広い川があり、その土手を、
一緒に歩く。
天気が良ければ、
のどかな、心寛ぐ一時。
出かける時に、犬用のバックに入れて、一緒に遠出することも。
郷里の倉敷にも連れて行った。
最近は高齢なので、散歩の時、
しかし相変わらず、
散歩が本当に楽しそう。
昨日も出かける前に2回、散歩してやった。
元気だし、
夜、帰宅すると出迎えに来ない。
近頃は年をとって、玄関のドアの音だけでは、
だから不審にも思わず、
いつものように私の座椅子で寝ている、と思った。
家内も呑気に「もう年だから、寝させておけば」などと言う。
だが、いくら声をかけても起きない。
顔を見ると、
舌は不自然に垂れて、紫に変色している。
体を強く揺さぶっても起きない。
私がいない間に、
幸い、
これまでも、病院に連れて行ったことは、
この日の朝も、
健康に生き、
でも、悲しい。私は、むーすけの目を閉じさせ、
むーすけは私に、これまで沢山の癒しと安らぎを与えてくれた。
ありがとう。