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高森明勅
2015.2.23 06:33

わが愛犬むーすけ、ありがとう

あれは何年前か。

既に1人暮らしをしていた長女から
ペットの犬を1匹、
押し付けられた。

白いポメラニアンで、名前はむーすけ。

最初は、どちらかと言えば嫌々、飼い始めた。

まぁ娘の頼みだから仕方がない、と。

家内は殆どノータッチ。

餌をやるのも、散歩に連れて行くのも、全て私。

むーすけは早く私になつき、私も可愛がった。

私が家にいる時は、膝に乗ったり、いつも側にいる。

やむなく外泊する以外は、毎日必ず早朝と夜、
少なくとも2回は散歩した。

雨が降っても、深夜に帰宅しても、欠かさない。

自宅で仕事をする日は、昼間に長めの散歩をする。

近くに広い川があり、その土手を、穏やかな風に吹かれながら、
一緒に歩く。

天気が良ければ、彼方に富士山がくっきりと浮かぶ。

のどかな、心寛ぐ一時。

出かける時に、犬用のバックに入れて、一緒に遠出することも。

郷里の倉敷にも連れて行った。

最近は高齢なので、散歩の時、歩く速度がめっきり遅くなった。

しかし相変わらず、長く歩きたがった。

散歩が本当に楽しそう。

昨日も出かける前に2回、散歩してやった。

元気だし、餌も美味しそうに食べた。

夜、帰宅すると出迎えに来ない。

近頃は年をとって、玄関のドアの音だけでは、
以前のように飛び出して来ない日もある。

だから不審にも思わず、書斎に入る。

いつものように私の座椅子で寝ている、と思った。

家内も呑気に「もう年だから、寝させておけば」などと言う。

だが、いくら声をかけても起きない。

顔を見ると、目を開いたまま。

舌は不自然に垂れて、紫に変色している。

体を強く揺さぶっても起きない。

私がいない間に、家内にも気付かれず、むーすけは死んでいた。

幸い、苦しんだ風はない。

これまでも、病院に連れて行ったことは、
毛が抜けかけた時を除き、1度もない。

この日の朝も、餌をせがんで跳びはね、くるくると何回も回った。

健康に生き、安らかに死んだ。

でも、悲しい。私は、むーすけの目を閉じさせ、
抱き抱えて、いつもの散歩道をゆっくり一巡した。

むーすけは私に、これまで沢山の癒しと安らぎを与えてくれた。

ありがとう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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