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高森明勅
2015.2.13 21:00

秋篠宮家のご覚悟

日本人が皇室の存続をもし望まないのであれば、
現状を放置していればよい。

だがそうでないなら、皇室典範の改正は不可避。

しかも、女性宮家を創設する以外に、
皇室の長い将来に亘る存続を確かなものとし、
かつその尊厳を守る手立てはない。

そのことは、もう何度も繰り返し述べて来た。

しかし政府も国会も、
この最重要の国家的課題に真剣に取り組む気配は、
残念ながら今のところ全くない。

しからば、女性宮家創設が決まった場合、
まずそれにお応え戴くべき秋篠宮家ご自身のご意思は? 

昨年のお誕生日に際しての記者会見で、
秋篠宮殿下はこのようにおっしゃっている。

私がもし天皇の在り方についてということに答えるのであれば、
やはり、象徴としての天皇というのは、
いかなるものがふさわしいのかということを考える、
そういうことにあるのではないかと思いますし、
長男にどのように伝えるかということについては、
やはり私自身はその立場ではありませんので、
陛下が言われたことを長男に、そしてまた長女、次女にも
伝えるということになります」と。

ここで「そしてまた長女、次女に…」
と述べておられるのは見逃せない。

もし女性宮家創設の可能性を頭から排除しておられたら、
わざわざこうした言い方はなさるまい。

更に、ご長女の眞子殿下ご自身も、
大学ご卒業に際しての文書回答で、
以下のように明言されている。

女性宮家についての私自身の考えに関しましては、
父の考えとほぼ同じですが、制度についてのことですので、
私からの答えは控えさせていただきます。

ただし、将来どのような人生を送ることがあってたとしても、
それまでに学んだこと、与えて頂いた貴重な経験と共に、
歩んで参りたいと考えております」と。

実に凛然たるご回答ではないか。

つまり、女性宮家創設の如何についてはお立場上、
お答えはお控えになるものの、
ご自身のお考えははっきり持っておられる。

それは「父(秋篠宮殿下)の考えとほぼ同じ」。

従って、もし今の典範で定められている、
ご結婚によって国民のお仲間入りをされる以外の
(だからこそ、「
どのような」と表現しておられる)
人生を送ることがあったとしても」、それをしっかりと
お引き受け下さるご覚悟があるーとお答えになっ
ているのだ。

涙が出るほど有難いお言葉ではないか。

いまだお若い内親王が、
ここまで決然たるご覚悟をお示し戴いている。

政府は自らがなすべき責務を、代案もないまま、
いつま先送りするつもりなのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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