ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2014.9.26 13:56

「私臭」

一つ訂正を。

小林先生のブログでは、私が、子供を生んではいないけど

育てていると書かれていました。

が、夫の子供たちはもうそれなりに成長しており、

たまにご飯を食べさせる程度なので、

育てているというのは正確ではありません。

こんな程度で育てているなどと言ってしまっては

世のお母様方に叱られてしまいます。

というわけで、細かいことではありますが、

私は、生んでもいなけりゃ育ててもいません。

 

さて、「幼児化した大人」について。

ここのところ、そういう大人に腹立つことが増えています。

たとえば私は戦争経験者の講演会を主宰していますが、

そのHPに、最近やたらと戦争関係の問い合わせが増えています。

あまりにうるさいので、「講演会に関する問い合わせのみ受付」と

わざわざ朱字で掲げてあるのですが、それでも

「○○部隊にいた人を知りませんか」とか、

「○○の戦場にいた軍人を探しています」といった

問い合わせが来ます。

とくにテレビの製作会社などマスコミが多いです。

彼らも大変なのだろうということはわかります。

そのため、社会人としてのマナーあるメールを

送ってくる方に対しては、こちらも誠実に対応しています。

でも中には、「こちらが対応して当然」というようなメールもあります。

上から目線で、自分の都合ばかり押し付けてくる人。

それでも出来る限り対応するのですが、そういう人に限って

返信しても梨のつぶてで、わかったのやらわかってないのやら。

しかもこちらが有効な情報源にならないと知るや、ノーレスって。。。

せめて「お手数をお掛けしました」ぐらい言えないものか。

見ず知らずの「あなた」のために時間を割いているのですから。

なんか最近、そんな自己チュー大人が増えているように思います。

もくれんさん、これも「幼児化」の一つの候補になりませんでしょうか?

 

あとは、肩書で生きている人。

今の肩書、昔の肩書。

どんだけ会社で偉い(偉かった)のか知りませんが、

「ここ、会社じゃないですけど?」と思わず

声を掛けたくなってしまいます。

この間も、いたんです。

どことは言いませんが、ある場所で、

ふんぞり返った親父が!!!

皆、自分にヘコヘコ頭を下げながら

すり寄って挨拶に来るのが当たり前だと

思っている(ということが顔に書いてある)。

この親父は、私のようなコムスメなど

一瞥をくれただけでお終いです。

こういうとき、私ももちろん親父に

一瞥をくれるだけでお終いにします。

平たく言うと、存在を無視する、というわけです。

心の中では、「かわいそうな人」と思いながら。

 

あ、同じ土俵に上がっている私も同じか!

でも性格的にすり寄ることができないので、

「けっ」と思いながら無視するよりほかありません。

 

号泣議員にしてもセクハラヤジ議員にしても、

はたまた身近にいる“上から目線”親父にしても、

嫌悪感を覚えるのは、そこに「私臭」が漂っているから。

 

私を見て!

私の気持ちを考えて!

私の言うことを聞いて!

私の都合を優先して!

私を崇め奉って!

ぜーんぶ「私」。

そこには他者への思いやりや想像力、謙虚さ、優しさ、

それらが決定的に欠けています。

幼児のそれはカワイイけれど、

大人になったら醜いだけです。

しかもそれは、「私」の主張のくせに
「公」を装っていたりするから
タチが悪い。

 

それを考えると、大人が「幼児化」したのではなく、

幼児がそのまま「大人」になってしまったのかな、

とも思います。

なんでそんな大人が増えてきたのか。

それとも、昔から一定数はいたのでしょうか。

そもそも、そんな大人が生まれる背景には何があるのか。

社会現象であるなら、それを生みだしたものは何か。

突き詰めていくと、ふかーーい「何か」がありそうです。

 

 


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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