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小林よしのり
2014.7.27 13:20

深田祐介氏について


深田祐介氏が亡くなったのは驚いた。

「新しい歴史教科書をつくる会」が発足する時、呼びかけ人

として名を連ねた同志だった。

阿川佐和子、林真理子両氏は、深田氏が誘って名を連ねることに

なったのだが、記者会見の席には早くも欠席になってしまった。

この事態に深田氏は責任を感じておられたが、

しょうがないことだった。

 

「つくる会」は、いわゆる「従軍慰安婦」が中学の歴史教科書に

載るほどまでに自虐史観になってしまった風潮と戦うために

発足させたものだ。

 

だが当時、「慰安婦は強制連行ではない」なんて言おうものなら、

マスコミからは村八分になって、仕事がなくなってしまう。

阿川・林両氏には、あらゆる報道・出版関係者から、

「あんな右翼集団に加わるべきではない」という圧力がかかり、

記者会見は欠席せざるを得なくなったという次第である。

 

あの頃は、「つくる会」は女性の敵だったのだ。

わしは「レイプ魔の味方」と見られて、悪人扱いだったし、

極左の脅迫もあって、何をされるかわからないという

緊迫した状況だった。

女性が慰安婦問題を語るなんて、絶対に無理だった。

 

まさか女性が慰安婦に向かって、「売春婦は帰れ」と

ヘイトスピーチをする日が来るなんて、夢にも思わなかった。

今では「人さらいとしての強制連行ではない」という冷静な

議論も飛び越え、女性が慰安婦を、売春婦として差別する

までになっている。

世の風潮が変わってしまったのだ。

 

言っても安全な時代が来たから、言い過ぎているのである。

 

「つくる会」の記者会見以降、深田祐介氏とは、六本木の

中華レストランで、二人で食事したことがある。

今現在の反知性主義的な右派連中と違って、深田氏はもっと

リベラルな知性と、紳士的な品の良さを持っておられた。

ご冥福をお祈りします。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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