集団的自衛権などを巡る与党協議で、
自民党と公明党が実質的に合意したという。
最初から分かり切った結末だ。
自民党が持ち出した行使容認の「要件」にあった表現を、
ちょこっと手直しすることで、公明党もメンツを保てた
気になったようだ。
最初の表現は、公明党の要求で修正するポーズを示す為としか
思えない、わざとらしいアバウトさ。
「他国に対する武力攻撃」を「わが国と密接な関係にある他国…」、
「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」
を「…根底から覆される明白な危険」に修正したとか。
勿論、「密接な関係」にしても、「明白な危険」にしても、
どのようにでも拡大解釈出来るから、実態は原案と何も変わらない。
そもそも、歴代内閣で集団的自衛権の行使は憲法上、
「認められない」として来たのを、いとも容易く「認められる」と
百八十度、転換した位だから、枝葉末節の文言如何で“歯止め”
になんかなる道理がない。
公明党自身も、そんなことは百も承知の猿芝居だ。
余りにも「明白な」子供騙し、と言うしかない。
しかも閣議決定の原案で、安倍首相が記者会見で憲法上、
無理と否定していた集団安全保障への参加も可能になる内容を、
公明党は丸呑みした。
世間にはどう見えたか分からないが、今回の協議は公明党の完敗。
その理由は、維新の会やみんなの党などとの提携という、
公明党抜きでも国会対応に困らない選択肢が、
自民党に生まれている為。
これで選挙対策もメドが立てば、
公明党と手を切ることも視野に入ってくる。
そんな中で、何としても政権与党の椅子にしがみつきたい
公明党としては、弱腰の対応に終始せざるを得なかったのが実情だ。
まさに「下駄の雪」の悲しさ。
かくて「宗主国」アメリカへの配慮により、
憲法と国防を巡ってまた1つ、嘘と欺瞞を重ねることになった。
昭和45年11月25日に憲法改正を求めて自決した三島由紀夫の
訴えは、今も新しい。
「敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ…
国の根本問題である防衛が、御都合主義の法的解釈によつて
ごまかされ…もつとも名誉を重んずべき軍が、
もつとも悪質な欺瞞の下に放置されて来たのである」―