日曜夜10時の電車内。
家路を急ぐ人々で
それなりに混んでいた。
すると突然、ドア付近にいた人たちが、
停車駅でもないのに大移動を始めた。
皆、こっち(通路の奥)にまで入り込んでくる。
「????」
皆が去ったドア付近には、
一人の男がもたれかかっていた。
そして足元にはゲロ!!!
こいつ、立ったまま吐いたのだ。
それで皆が避難したのだ。
しかも私の隣では、ゲロの襲撃に
あった男性が無言のうちに
脚やカバンを拭いている。
うう、一瞬先は闇だ。
何が起こるかわからない。
しかしこの男性は立派だ。
ヤツを責めるでもなく、
ゲロにも負けず、
好奇の視線にも負けず・・・
ゲロ男は、うつろな目で周囲を見渡し、
状況を把握したのか
停車した次の駅で降りた。
自分のゲロに足を滑らせながら。
誰も声をあげない。
黙ってゲロ臭の充満する車内で耐える。
うん、忍耐だ。
いや、違うだろ。
私はその次の停車駅で、早々に
車輌を移動した。
どうでもいいけど、衝撃的だった。