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小林よしのり
2014.4.25 13:14

慰安婦「強制性」をでっち上げた官僚


村山談話・河野談話に未来はあるか?

61回 民間よりも官僚の方が優秀だった!?

 

吉見義明が『従軍慰安婦資料集』を出版したのが

1992年(平成411月。

内閣官房が慰安婦問題に関する「第2次調査報告書」を

提出したのが1993年(平成58月だから、この頃、

ほぼ同時期に官民双方で全力を挙げて慰安婦の資料を

あさりまくるという珍現象が起きていたことになる。

 

そしてあらゆる資料を探し回った挙句、官民双方

ともに「強制連行」を裏付ける資料はないという

結論に達するしかなかったわけだ。

 

強制連行はなかった。

しかしそれでも吉見義明は日本政府に謝罪を

させたかった。

強制連行はなかった。

しかしそれでも日本政府は韓国との密約により、

謝罪することになっていた。

そこで官民双方で、強制連行がなくても謝罪をしな

ければならない理屈を必死でひねり出すという、

とても正気の沙汰とは思えない努力を繰り広げたの

だった。

 

そして吉見義明は「狭義の強制連行

広義の強制連行」という珍妙な造語をひねり出し、

たとえ「人狩り」のような「狭義の強制連行」が

なくても、騙されて連れて来られた場合は

「広義の強制連行」だという理屈を発明した。

 

要するに「広い意味での人狩り」だと言っているわけで、

そんなヘンテコなものがあるわけがないのだが、

仮にそれを認めたとしても、それで日本国の責任追及を

するには、まだ無理があった。

「いい仕事がある」などと騙して女性たちを連れて来た

のはあくまでも悪質な業者なのであって、日本軍は

むしろそのようなことが極力起こらないよう、

業者を監視していたのだ。

それは、資料を集めれば集めるほど明らかになって

くることだった。

 

その点、官僚はより巧妙(?)だった。

35回で書いたように、「強制連行」という単語

そのものを外してしまい、「強制性」という概念を

でっち上げたのだ。

「連行」の事実は、あろうとなかろうと関係ない。

ただ、本人が嫌だと思うことをやらされたなら、

それは「強制」だということにしてしまったのである。

これを考えたのは外務省アジア局長出身の

外政審議室長、谷野作太郎という人物らしい。

官は民よりも「優秀」だったと言うべきか…?

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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