ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2013.12.26 17:31

アイドルの追っかけか

上空を旋回するテレビ局の

ヘリコプターの数が

見る見るうちに増えてくる。

 

突如として入ってきた

安倍首相の靖国神社参拝の報せ。

私はたまたま遊就館の写真展の

撤収作業で靖国神社に向かっている

ところだった。

 

参道では、リポーターが

テレビカメラに向かって何かしゃべっている。

ヘリの轟音が物々しい空気を作りだす。

本殿の前では見物客が押し寄せていた。

皆、スマホを頭上に掲げて、

安倍首相の姿を捉えようと懸命になっている。

 

押さないでくださーい。

下がってくださーい。

警備員の声が何度も響き渡る。

 

何と情けない光景か。

アイドルの追っかけじゃあるまいし。

 

と言いつつ、せっかくなので

首相御一行様が車で神社を後にするところを

人ごみから離れ眺めていた。

 

 

私は、基本的には首相(安倍さんに限らず)の

靖国神社参拝を望んでいる。

いや、もっと言えば、

天皇陛下の御親拝を賜りたいと願っている。

それは英霊が望んでいることだろうと

思うからだ。

 

しかし中韓はさっそく激しく反発した。

米国は大使館を通じて「失望した」という

声明を発表した。

これでまた靖国神社は政争の具で

あり続けることになった。

 

私は黙々と写真展の撤収作業を行なった。

とりあえず今、自分がやるべきことは

それしかないからだ。

アイドルが去った後の静けさ。

さっきまでの狂騒と他国からの批判の嵐を、

果たして英霊はどう受け止めるだろう。

 

情けなさがまたこみ上げてくる。

アイドルの追っかけと化した人々に対してなのか、

中途半端な時期に参拝した首相になのか、

それとも靖国神社に対する諸外国の無理解になのか。

あるいは、この先どれほど説明しても他国に

理解してもらうことはできないだろうという

悲観的な思いがあるからか。

 

いや、そうじゃない。

誰も彼もが英霊の存在を置き去りに

している。

それを変えられない自分の

無力さに対してだ。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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